スポーツ チャンスを掴む:F1ドライバーのようにトレーニングするには

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モーターレーシングの中で、最も栄えある舞台で求められる身体的要素を満たすにはどうすればいいのか。この記事でご紹介します。

バーレーン - 2月24日:2023年2月24日、バーレーン王国のバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1プレシーズンテスト2日目。チャンピオンナンバーの「1」が入ったオラクル・レッドブル・レーシングRB19を駆り、ガレージから出走するマックス・フェルスタッペン(オランダ) 。(Photo by Peter Fox/Getty Images)

モータースポーツの最高峰で戦うには、どんな苦難にも耐える気骨、粘り強さ、レース運びの妙、そして支えてくれる頼りになるチームが必要です。でも、それだけでは足りません。身体も心も念入りに調整し、万全の態勢を整えておく必要があります。F1では、シーズンを通して、様々なレースが繰り広げられます。過酷なレースで心身共にくたくたになってしまうこともあります。だからこそ、ドライバーはハードなトレーニングを積むのです。彼らのフィットネストレーニングがユニークなのは、相反する力の適切なバランスを見つけ出すことが目的だからです。F1ドライバーには、強さと軽さの両方が求められ、瞬時に対応できる反射神経と、どんなタイプのレーシングコンディションにも耐えられる能力が必要です。2023年のF1シーズンも開幕。そこで今回は、モーターレーシングの中でも最も栄えある舞台で求められる身体的要素を満たすにはどうすればいいのかを探っていくことにしましょう。

ビルドアップ

F1ドライバーは、シーズンの間に3ヶ月の休みがあります。もちろん、彼らにはこの短い休暇をゆったりとリラックスし、何もしないで過ごすだけの十分すぎるほどの権利があります。しかし、ドライバーたちは次のシーズンに向けて身体を鍛える時間も作らなければなりません。そんなわけで彼らはオフシーズンの大半を筋力トレーニングと有酸素運動をミックスさせたメニューをこなすことに費やすのです。ドライバーには、800kgの重量マシンをコントロールする能力が求められます。なので、筋トレをしながら、オールラウンドなフィットネスにも取り組むことが重視されます。シーズンが始まってしまえば、回復以外のことをする余裕はほとんどありませんから、オフシーズンにどれだけトレーニングをしておくかが極めて重要になります。

バーレーン - 2月23日:2023年2月23日、バーレーン王国のバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1プレシーズンテスト1日目、会話を交わしながらサーキットを歩くオラクル・レッドブル・レーシングのセルジオ・ペレス(メキシコ) とマックス・フェルスタッペン(オランダ) 。(Photo by Mark Thompson/Getty Images)

マッスル ハッスル

F1ドライバーは、通常の重力の6倍にも達するGフォースにさらされます。コーナーを曲がるたび、加速するたび、急ブレーキを踏むたび、ドライバーの身体には何らかの影響が及ぼされます。そのため、首の筋肉はF1ドライバーにとって極めて重要な筋肉群になります。こうした筋肉を鍛えるため、ドライバーたちはハーネスや抵抗バンドを使用し、筋力と持久力を最適化させます。また、下半身の筋肉をつけることも欠かせません。ドライバーのトレーニングは肩や前腕に焦点が当てられることが一般的ですが、それは長時間にわたりマシンを操縦するのにこうした筋肉が必要となるためです。また、体幹、背中、大臀筋、ハムストリングスにも重点が置かれます。

息を止めて

F1ドライバーが、1周のうち約70%を無呼吸状態、つまり呼吸をしていない状態で過ごしていることをご存知ですか。Gフォースは、ドライバーの筋肉だけでなく、呼吸にも影響を及ぼします。そのため、F1のトレーニングでは持久運動と有酸素運動が大きな比重を占めます。こうしたルーティントレーニングが、レース中にドライバーが息をすることに気付いたときにより効率よく機能するよう心臓と肺を鍛えるのです。

  • バーレーン - 3月3日:2023年3月3日、バーレーン王国のバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1バーレーンGPのテスト走行で、チャンピオンナンバーの「1」が入ったオラクル・レッドブル・レーシングRB19に乗ったマックス・フェルスタッペン(オランダ) 。(Photo by Clive Mason/Getty Images)

レース、リカバリー、リピート

F1ドライバーの多くは、シーズン開幕時に最も体重が重くなります。これは、シーズンが進むにつれて、だんだん体重が減っていくからでもあります。実際、ドライバーの体重はレースウィークの間、激減します。フリープラクティスと予選で3kg、レースが終わる頃には4.5kgも体重が減ってしまうと言うドライバーもいます。レース後、休息と回復に重点を置かれるのはこのためです。軽いサイクリング、ちょっとした体幹と首の筋力強化、クライオセラピーなどを行う程度です。そして、次のレースに臨むのです。

体重論争

ドライバーには体力が必要ですが、クルーはドライバーにできるだけ体重を軽くすることも求めてきます。だからこそ、F1ドライバーの体重管理は、常に苦労の連続なのです。戦いの熱気の中では、わずか1kgの違いが大きな差となって現れます。そのため、ドライバーはほぼ毎回、適正体重を維持する必要があるのです。ドライバーの体重でマシンが重くなり過ぎると、マイクロ秒(100万分の1秒) 単位で減速してしまいます。反対に体重が軽くなりすぎると、規定体重を下回ってしまう可能性があります。(レギュレーションでは、ドライバーの最低体重は、身につけるギアや装備を含めて80kgとされています。)

これでお分かりのように、F1ドライバーのようにトレーニングするのは容易なことではありません。かなりの意欲と時間、そして運動量が必要ですから。

何はともあれ、新シーズンが楽しみですね。ここで、あなたの胸の鼓動を高めるちょっとしたことをお教えしましょう。それが「タグ・ホイヤー フォーミュラ1 レッドブル・レーシング」シリーズ。私たちが共有する大胆さと記録達成に挑む精神が形になったタイムピースです。