スポーツ E-ducation：フォーミュラE 2023年シーズン完全ガイド

電気自動車レースの新たなシーズンがスタートしています。フォーミュラEは、単にモータースポーツをより良いものへと変えているだけでなく、シーズンを重ねるごとに進化しています。新シーズンとなる「シーズン9」では、より優れたテクノロジー、より高速のマシン、新しい顔ぶれが登場し、さらに大胆になったサステナビリティ目標を掲げています。ただし、変わらないものがひとつだけあります。それが、チャンピオンシップ制覇に求められるスピード。今年も楽しみなことが満載です。。そこで今回、フォーミュラEの創設パートナーであり、オフィシャルタイムキーパーでもある私たちタグ・ホイヤーがその最新情報をお伝えすることにしました。それでは始めましょう。

我が「タグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチーム」は、今シーズン、斬新な外観の新しいGen3マシンを手に入れました。一方ドライバーは、シーズン6のチャンピオン、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが加わり、パスカル・ウェーレインとともに無敵のラインナップとなっています。チームにはフレッシュな雰囲気が漂っており、それが快進撃の理由にもなっているようです。現在、ウェーレインが2勝を挙げてドライバーズランキングをリード。ダ・コスタも、インドのハイデラバードで開催されたE-Prix第4戦で3位に入っています。その他のグリッドに並んでいるマシンの中には、マクラーレンとマセラティの名も見えます。モータースポーツ界のアイコニックなこの2ブランドは、今シーズンからフォーミュラEに参戦しています。彼らがレースをより面白いものにしてくれるはずです。

Gen3マシンは、美女であり野獣でもあります。技術開発、イノベーションの面では大きな飛躍です。このマシンには、これまでで最も速く、最も軽く、最も効率の良い電気レーシングカーを実現するべく業界最高峰の頭脳の持ち主たちが、その知識を注ぎ込みました。まさに、EV開発の限界を押し広げるものです。

このマシンは、最高時速322キロを出すことができます。車体も従来より小型化し、ストリートレース用に最適化されています。フロントに追加されたパワートレインが、リアの350kWに250kWを加えるので、Gen2よりはるかにパワフルになっています。Gen3時代の到来。しかも、これほどまでに電化されたマシンは初めてです。

今シーズンの最も大きな変更点のひとつが、タイムに代わってラップが採用されるようになった点です。つまり、レースは決められた時間ではなく、周回数で行われるのです。周回数に切り替えても一貫性が保たれるよう、セーフティカーやフルコースイエローによる中断も、これまでのレース時間の延長に代わって、周回数で補われることになります。これによって、レース中にアクシデントが起こっても、レースの興味が半減してしまうこともなく、レース中、臨機応変に戦略を変え続けることをチームに求めるようにもなります。

もうひとつの大きなアップデートが「アタックチャージ」です。フォーミュラEは、新しいGen3マシンがレース中に電力のブーストを受け入れることができる先駆的なバッテリーと充電機能を開発。その結果誕生したのが、毎時4kWのエネルギーを30秒で受け取ることができるバッテリーです。これは、600kWのブースターで供給される現時点で世界最先端のEVバッテリーです。

アタックチャージの仕組みは、レース中の所定の時間内に30秒間のアタックチャージが義務付けられ、レース後半、それによってパワーアップした「アタックモード」が2回の使えるようになるというものです。このとき、Gen3マシンの出力は300kWから350kWに増加します。このアタックチャージは、シーズン9の後半、一部のレースで試行される予定です。これからもフォーミュラEに関する最新情報をお届けしていきますのでどうぞお楽しみに。

今年のフォーミュラEカレンダーには、新たに4ヵ所の開催地が加わりました。それが、サンパウロ、ケープタウン、ハイデラバード、ポートランドです。ハイデラバードE-Prixでの熱戦から判断すると、サンパウロ、ケープタウン、ポートランドでもスリリングなレースが続くことは間違いありません。レースは、ホイールトゥホイールのバトル、魅力的な戦略、そしてこれまでにない新たなフォーミュラEファンの姿が見られました。それはまさに、フォーミュラEが世界中で人気を博している証しです。

シーズン9はフォーミュラEにとって画期的な年になりそうで、これまでより多くのレースが開催され、より速いマシン、興味深い戦略といったもの全てが見られるはずです。というわけで、今後もこの電気自動車レースに関するニュースをお届けしてまいりますので、どうぞお楽しみに。