サヴォワールフェール ジャック・ホイヤー、「カレラ」を生み出した伝説の男

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ジャック・ホイヤーの誕生日を祝い、タグ・ホイヤー カレラをこの世に送り出した彼のストーリーを振り返ります。

タグ・ホイヤー ミュージアムでのジャック・ホイヤー (2017年)

1年を通して祝ってきた「タグ・ホイヤー カレラ」誕生60周年もいよいよ佳境に入ってきました。しかし、このコレクションに生命を吹き込んだジャック・ホイヤーへのオマージュを捧げることなくこの記念すべき1年を終わらせるわけにはいきません。ジャックは、これからも永くその業績が語り続けられるであろう存在だからです。(ところで今日、11月19日が彼の誕生日だったことはご存じでしたか?) タグ・ホイヤーの元CEOで現在名誉顧問である彼は、まさに時計製造業界のレジェンド。彼の曽祖父が創業してから100年の時を経て、ホイヤーは最先端の技術革新によって世界的な知名度を誇るブランド企業へと成長を遂げました。タグ・ホイヤーが常に業界の先頭を走り続けていられるのも、ジャック・ホイヤーが絶えず新しいものを追い求めていたからです。そこで今回は、ジャックの若かりし頃から彼が築いた不朽のレガシーまで、数十年にわたる彼の足跡をたどってみることにします。それでは、見ていきましょう。

弱冠20歳でホイヤー社を引き継いだジャック・ホイヤー

若き日のジャック

ジャック・ホイヤーは1932年11月19日、スイスのベルンで生まれます。当時、ホイヤーは、1860年にスイスのサンティミエで開業した小さなファミリービジネスながら、繁盛店としてにぎわっていました。若い頃、夏休みをニューヨークで過ごしていたジャックは、アバクロンビー&フィッチで働き、ホイヤーの時計を店頭で販売していました。これがきっかけとなって、ジャックは家業に加わり、ホイヤーの時計でアメリカ市場を制覇したいという野望を抱くようになります。まだ若いジャックに託された仕事のひとつが、北米にホイヤー・タイミング・コーポレーションという名の子会社を設立することでした。当時北米市場は活況を呈し、ジャックはその経験を生かして1962年に父と叔父から会社を引き継ぎます。こうして彼は、ホイヤー家の4代目として事業を率いることになったのです。

黄金時代

29歳という若さでジャックは、斬新でモダンなアイデアを次々と打ち出し、1962年に「オータヴィア」、1963年に「カレラ」、1968年に「カマロ」、1969年に「オートマティック クロノグラフ」と「モナコ」を発表することでホイヤーの黄金時代を築いていきます。ジャックにとっての金字塔は、1963年春のバーゼルフェアで「ホイヤー カレラ」を発表したときに打ち立てられます。

ル・コルビュジエやイームズといった建築家からインスピレーションを得たこのタイムピースは、すっきりとした機能的なダイヤルのクロノグラフでした。ジャックは後にこう語っています。「カレラは、そのクリーンで極めて読み取りやすいデザインによって、モダンでエレガントな雰囲気を醸し出しています。このタイムレスなスタイルと、大胆で何にでも果敢に挑戦していく精神が、カレラが長く愛され続けているカギとなっています。」 「カレラ」コレクションはその後、コレクターや愛好家の熱い視線を集めるようになっていきます。

  • ジャック・ホイヤーとマイクロスプリット

マーケティングの天才

ジャックは多彩な分野でその才能を発揮しましたが、彼の強みはなんと言ってもその優れたマーケティング能力にありました。彼のモータースポーツへの情熱は、ホイヤーのロゴをマシンに飾ったF1チームや、ホイヤーのロゴ入りスーツを着用したドライバーとのスポンサー契約へとつながります。こうしたパートナーシップやプロダクトプレースメントがブランドの知名度を高め、その後多くのラグジュアリーブランドがモータースポーツのスポンサーになっていく舞台を整えたのです。ジャックはまた、ハリウッドの映画スターたちの腕元に自らの時計を着用してもらうことにも価値を見出します。興味深い事実として挙げられるのが、俳優たちが映画で使ったジャックの時計を気に入って自分のものにしたいと望んだ場合、「ジャック・ホイヤー宛てに自分のサイン入り写真を送れば、その時計をキープできる」というルールでした。この黄金時代の半ば、ホイヤーはレオニダスを傘下に収め、計時機器サプライヤーの世界的リーダーとなります。

スペシャルエディションの「タグ・ホイヤー カレラ」(CBN2041.FC8306) を着用したジャック・ホイヤー (2020年)

不朽のレガシー

ジャック・ホイヤーの影響力は計り知れないものがあります。最新の時計製造における技術革新から、多くの人々の腕元で輝く「カレラ」まで、ジャックは、タグ・ホイヤーが、現在のスイスが誇るアヴァンギャルドなウォッチブランドへと変貌を遂げる際に極めて重要な役割を果たしてきたからです。ジャック・ホイヤーの自伝『The Times of My Life』の序文で、タグ・ホイヤーの前CEO ジャン=クリストフ・ババンは、ジャックを「その先見性とパイオニア精神により、ブランドが技術的にもデザイン的にも傑作を生み出すことを可能にするインスピレーションをもたらす存在」と称えています。これ以上にうまくジャックを表現する言葉は見当たりません。ジャック、誕生日おめでとう。そしてあなたが築いた不朽のレガシーに乾杯!

「カレラ」コレクションとジャック・ホイヤーについては、新刊『TAG Heuer Carrera: The Race Never Stops』に詳しく説明されています。世界各国のタグ・ホイヤー ブティックおよび一部書店でお買い求め下さい。