ポッドキャスト Podcast、シーズン3、エピソード7:ジョシュア・ロジャースが語るモーターレーシングとeスポーツの架け橋となること

100回目となる記念すべき2023年ル・マン24時間レースのライブ配信で、ポルシェ ワークス ドライバーが、急成長する「レースシミュレーション」の世界を垣間見せてくれます。

時が止まる瞬間があります。それは、自分の中に何か偉大なものが現れ出てくる瞬間。そして時の試練に耐える瞬間でもあります。The Edgeが贈る、非凡な人々が、自らの全てを変えてしまった、ある瞬間にまつわるストーリーを語るトークシリーズ。世界記録、ワールドチャンピオン、ひらめき、人生を変える決断。そうした瞬間を振り返り、どうやってプレッシャー、恐怖、痛みを克服し、自分を限界に、エッジにまで追い込んでいったのかを語ってくれます。

今回のゲストはポルシェ ワークス ドライバーのジョシュア・ロジャース。2020年のル・マン24時間バーチャルやポルシェ・eスポーツ・スーパーカップ2021など、様々なレースシミュレーションのタイトルを獲得したジョシュアは、eスポーツの頂点にまで上り詰めたeスポーツ界のレジェンド。100回目となる記念すべきル・マン24時間レースのライブ配信で、ジョシュアが、リアルなモーターレーシングとレースシミュレーションの架け橋となることについて語ってくれました。彼はまた、eスポーツで闘い、ハングリーであり続け、卓越するために欠かせないことについても話しています。それでは、テオ・ヴァン・デン・ブロークがホストを務めるタグ・ホイヤーのPodcast『The Edge』をお楽しみ下さい。

Podcast全編をお聞きになるには、Podcastアプリの検索バーに「The Edge TAG Heuer」と入力してください。

Podcastの目的、それは、自分の限界を超えるための、毎月必要なインスピレーションの源となるために

注目してください。少し時間がありますか?

それなら、スタートラインに立ち、アドレナリンが湧き出るようなダイジェスト版をご紹介しましょう。そして、Podcastに登録するのをお忘れなく。後でエピソード全体を聴くことができます。「The Edge by TAG Heuer」のシリーズでは、可能性の限界で活躍している非凡な人々とのトークを繰り広げます。レースに参加することと、そのレースで勝利を手にすることとの些細な違い、そして、“エッジ” (私たちを勝利に導くもの) とは何なのか、それを超越するには何が必要かを追求していくシリーズです。

モーターレーシング界はレースシミュレーションをどう見ているのか

レースシミュレーションはむしろeスポーツとして受けけ入れられていて、評価もかなり高いです。リアルなモータースポーツとは違います。求められるスキルもちょっと違いますし。レースシミュレーションの方が、ドライバーとしてやる仕事が多くなる傾向があります。基本的に、ストラテジスト、ドライバー、エンジニア、その全てを自分でやることになりますから。今週末のレースでここにきているドライバーたちの多くも、競技としての本格的な大会に参加したり、単に楽しみながら週末のレースのために腕を磨こうとしたりして、レースシミュレーションを楽しんでいます。そしてその結果、大いにリスペクトされるようになっているのです。

リアルなモーターレーシングとレースシミュレーションの架け橋となることについて

ポルシェは、レースシミュレーションに最初に取り組んだメーカーのひとつです。例えば、私は今週末ここにいますが、ポルシェが関与していなければ、ここにいるeスポーツドライバーはもっと少なかったと思います。一般のモータースポーツ コミュニティーにレースシミュレーションを見せて、実際に体験してもらうと、彼らの見方がガラリと変わるんです。半信半疑でやってきて、シートに座って運転し始めた途端に夢中になって、降りたくなくなる人がほとんどです(笑) それがeスポーツの感染力なんだと感じています。そしてそれは、異なる分野同士がどのように融合するかを示す大きな要因でもあります。

eスポーツの競技レベルについて

eスポーツの競技レベルは非常に高く、自信を持って言えるのは、より長い準備期間が取れるという点です。レースウイークエンドには、ドライバーとして、実際のレースよりはるかに準備が整った状態でレースに臨めます。私は別にリアルなレースのレーサーたちが準備をしないと言っているわけではありませんし、そんなことは全くありません。単に私たちの方が準備のための時間がたくさんあるので、些細なことにも完璧を期すための時間が多いということを言っているだけです。その結果、より熾烈な闘いが繰り広げられるレースを見る人に楽しんでもらえます。私はeスポーツの方が競争が熾烈のような気がします。メンタルの消耗もより激しいですし。もちろん肉体的な消耗はより少ないですが。でも、精神的には本当にかなり入れ込むことになります。

常に110%の力で臨む

レースという観点では、多くの人がカートを経験し、お金が尽きてレースシミュレーションに転向している、と言えるのかもしれません。私にとっても似たようなものですが、競技の要素からの情熱と意欲がそこにはあると思います。そして、自分がやっていることが何であれ、常に110%の力で望んでいます。もちろんレースシミュレーションも同じで、これを自分のキャリア、職業と呼べることに感謝しています。

ジョシュアが最も印象に残っている瞬間

正直なところ、ひとつを挙げるとなると難しいですね。というのも、私にとってのハイライトとなる瞬間がいくつもあるからです。最初のものは、おそらくバーチャル ル・マン レースでの優勝だと思います。2020年6月に開催されたル・マン24時間レースでした。確か、コロナのせいでリアルなレースが中止になり、バーチャルでやることになったときだったと思います。みんなが集まって。ポルシェでの初の正式なレースでしたが、勝つことができ、気分は最高でした。

ポルシェと仕事をすることについて

eスポーツでポルシェと一緒に仕事をすることは、競技的な面で助かっています。組織的な観点からも助かっていますし、レース当日のドライバーとしてのパフォーマンス向上にも役立っています。私たちは純粋なスポーツの要素であるドライビングに集中することができますから。それに、色々な人と知り合うことで、レースシミュレーションを推進することもできます。それがこのコラボレーションの最大のプラス面だと感じています。今ここにいられることをとても嬉しく思いますし、ポルシェが自分たちのブランドにふさわしい成功をもたらす存在として私たちを信頼してくれていることにも感謝しています。私たちはその期待に応えるために頑張っています。

競争力の維持について

競争力を維持し続けるために、時には苦労することもありますが、どんな場合でも、あきらめずに取り組み続け、様々な角度から状況を見極めるようにしています。何か新しいことを試したり、ドライビングの何かを変えたりして、それがうまくいくかどうかを調べたりすることもなく、ただ何度も何度も周回を重ねるだけではダメなんです。

メンタルな面では、シーズンはスケジュールが詰まっていて、基本的に1日6時間は運転することになるので、そこが厳しいところだと思います。メンタルの強さが問われるところは、私も含めて、ドライバーとして誰もが改善できるエリアです。全ての中で最も重要な要素だと思います。それがレース当日に役立つだけでなく、やり続ける助けとなり、競争力を維持し、ハングリーであり続けることにつながります。私ににはまだ勝ちたいという競争心を失うという心配はありません。

レースシミュレーションの未来

eスポーツとしてのレースシミュレーションに対する私の願いが、成長し続けて欲しいというものであることは当然です。今年はすでに、過去3年間を上回る数のLANイベントを開催しています。ある団体が開催するLANイベントやオンサイトイベントで、他のドライバーたちと一緒に参加して、レースをし、それを観客に見てもらう。私としてはそうしたシーンをもっと見たいですし、そうなるようにすることが私たちの目指す方向です。もちろん、時間はかかるとは思いますが、多くの人が会場に来て、関わり、楽しんでくれれば、さらに多くの人が見に来てくれる可能性も高くなります。そして、多くの人が関心を持てば持つほど、多くのレースを実施するメリットも増えます。