時計 際立って洗練されたツールウォッチ

Watches & Wonders Geneva 2023

6分

アンガス・デイヴィス オンラインマガジン『ESCAPEMENT』共同創設者

贅沢なひねりを効かせた、ツールウォッチの進化形

タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200(WBP5152.FT6210)

ゴールド – 何世紀にも渡り熱望されてきた貴金属

周期表を見ながら、人差し指を伸ばして左から右へと列を辿っていくと、第6周期でプラチナ(Pt) の右隣にゴールド(Au) が見つかります。

この Au というアルファベット2文字が、何世紀にもわたって人々の熱望を喚起してきました。古代エジプト(紀元前14世紀) の有名なツタンカーメンの黄金マスクには、11kgものゴールドが使われています。興味深いのは、1925年に考古学者のハワード・カーターによってこのデスマスクが発見されたとき、その保存状態が驚くほど良好で、ゴールドという素材の耐久性を証明するものとなった点。

鮮やかな輝きを放ち、密度が高く、耐食性に優れるなど、ゴールドには様々な特性があることは広く知られていますし、この貴金属はまた、可鍛性、延性にも優れています。しかし、極めて柔らかいため、通常は他の元素と合金化して硬くし、形状が変化するのを防いでいます。ジュエリーやウォッチに使われるゴールドは、主にイエローゴールド、ローズゴールド、ホワイトゴールドの3色。シルバー、コッパー、プラチナ、パラジウムなど、様々な元素を加えて目指す色合いに仕上げます。

プラチナとホワイトゴールドのように、素人目にはその違いがよく分からない貴金属もありますが、イエローゴールドとローズゴールドほど、雄弁に、そして顕著にラグジュアリーを語る素材はありません。そして今回、タグ・ホイヤーは、この2色のゴールドを採用し、高品質なウォッチメイキングの新たな表現を生み出しました。

タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200(WBP2151.FT6199 & WBP2451.FT6200)

贅沢なひねりを効かせた、ツールウォッチの進化形

かつては実用品とみなされていたツールウォッチも、いまではラグジュアリー感をより一層高め、スタイリッシュでさえある羨望のアイテムとなっています。プールサイドでも、カジュアルなファッションでも、カクテルスーツでドレスアップしたときにもマッチする現代のツールウォッチは、極めて汎用性が高く、多彩な役割を果たしてくれます。

ここ最近、タグ・ホイヤーは、製品ポートフォリオの中で様々なモデルの改良に多大なエネルギーを費やしてきました。実際、タグ・ホイヤー カレラの現行モデルのダイヤルを観察し、最新のモナコのムーブメントを調べ、アクアレーサーの人間工学に基づくブレスレットに触れれば、様々なアップグレードが一目瞭然です(そして実感できます)。

昨年、このスイスを代表するアヴァンギャルドなウォッチメーカーは「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200」を発表しました。200mの防水性で、昼夜を問わず驚異的な視認性を誇るこの極めて実用的なタイムピースは、タグ・ホイヤーの高級化戦略を示すもうひとつの例と言えます。先代モデル同様、このウォッチも、明瞭つまり夜光塗料を塗布したふっくらとした針でダイヤルをはっきりと読み取ることができます。その上、この最新モデルでは、どんな状況でもファセット加工された極めて明瞭なインデックスが光を鮮やかに反射させ、実用的な役割を果たすだけでなく、目に見えるレベルでの洗練された魅力をもたらします。

逆回転防止ベゼルを回すと、クリックをテーマにしたカタルシスを感じさせるようなサウンドトラックとともに、極上の甘い触感を楽しむことができ、背面のケースバックには、六角形のモチーフと羅針盤が刻印されています。このようなディテールへの徹底したこだわりは、元々プロダイバーのニーズさえ満たせば良かったヴィンテージのツールウォッチのような初歩的な作りとは一線を画すものです。

そんな卓越性を追求し続けるタグ・ホイヤーが今回ツールウォッチの実用性と融合させたのが、超魅力的な貴金属のゴールド。そして新たにリリースされたのが、ステンレススティールとゴールドを組み合わせた「アクアレーサー プロフェッショナル200」のバイカラーモデルです。合わせて、後ほど紹介するソリッドゴールドのケースとベゼルを纏った時計界の貴公子2モデルも発表されました。

タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200(WBP2150.FT6210)

バイカラー-ステンレススティール&ゴールド

ステンレススティールとゴールドのモデルは、ステンレススティール製ケースに18Kソリッドゴールド製ベゼルインレーとリューズで構成されています。いずれも装いの中に温かみをプラスする、イエローゴールドとローズゴールドの2色からお好みのカラーが選べます。針とインデックスは、ゴールドにホワイトのスーパールミノバ®を塗布し、この最新世代のツールウォッチにおいて、ラグジュアリーと実用性が見事に融合されていることを表現しています。

ケースサイズも、40mmと30mmの2種類から選ぶことができます。いずれのサイズにも、ダイヤルカラーはブルーとブラックのスモーキーダイヤルが用意され、40mmモデルのダイヤルには水平のストライプが入り、30mmモデルではマザーオブパールのダイヤルにダイヤモンドをセットしたインデックスが配されています。まさにこれまでの平凡なツールウォッチとは一線を画すラグジュアリーモデルです。

すべてのモデルに自動巻ムーブメントが搭載され、無数の六角形と羅針盤を飾ったソリッドケースバックがかぶせられており、さらに、すべてのバージョンに、カラーコーディネートされ、ステンレススティール製バックルとコンフォート リンク エクステンション システムが採用されたラバーストラップが付いています。200mの防水を備えたこの新しいアクアレーサーは、日常生活での実用性も万全です。

タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200(WBP5150.FT6199)

フルゴールド - 究極のツールウォッチ

タグ・ホイヤーは、今回、究極のラグジュアリーを表現したタイムピースを求める人々のために、ゴールドの使用を極限まで高めた2つの新作モデルも発表しました。直径40mmのソリッドゴールド製ケースに収められたこの新作アクアレーサーは、かつてのありふれたツールウォッチの対極に位置するハイエンドモデル。スイスならではの洗練された仕上げが施され、あらゆる社交の場にふさわしい上品な佇まいを醸し出します。

スモーキーブラックのダイヤルには18Kローズゴールド、スモーキーブルーのダイヤルには18Kイエローゴールドのケースが組み合わされ、どちらを選ぶか、難しい選択に迫られるでしょう。ただし、どちらのゴールドを選ぼうと、ケースとベゼルの表面はサテン仕上げとポリッシュ仕上げが見事に融合しています。リューズにはブラックDLCチタンを採用し、ゴールドのテーマとは異なる面白さを加えながら、まとまりのある美しさを実現しています。

フルゴールドモデルに搭載されたのは、新しい自動巻ムーブメント キャリバーTH31-00。このムーブメントは、自動巻機能に加え、その計時能力の高さが独立した機関によって保証されたCOSC認定クロノメーターでもあります。実際、タグ・ホイヤーは、このウォッチの精度を日差マイナス4秒からプラス6秒としており、さらに、約80時間という驚異的なパワーリザーブを誇ります。この印象的な自律性が、金曜日の夜にウォッチを外したまま放置してしまっても、月曜日の朝も、毎時28,800振動で正確な時を刻み続けているという安心感をもたらします。ただし、このウォッチの汎用性を考えると、なぜ外そうと思うのか、という疑問が湧いてくるほどです。

ダイバーズウォッチの常識を覆すこのフルゴールドモデルは、サファイアクリスタルのケースバックを採用し、美しく整えられたムーブメントを見ることができるようになっています。ブリッジにはコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、ムーブメントには、タグ・ホイヤーのブランドロゴが目を引く特注のローターが搭載されており、

豪華なディテールが盛りだくさんで、このフルゴールドモデルが、あらゆる条件を満たしたツールウォッチであることを忘れそうになります。今回一緒に発表されたステンレススティールやバイカラーのモデル同様、このフルゴールドモデルもその名の通り200mの防水性を誇り、時間を安全に把握するための逆回転防止ベゼルを備えています。ストラップはブラックラバー。ブラックDLCコーティングのチタン製バックルが組み合わされ、タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル200シリーズの他のモデル同様、調整用リンクエクステンションが付属しています。この機能により、ブレスレットを手首に最適にフィットさせるための微調整が可能になり、着用感がさらに向上。

洗練された仕様でありながら、バイカラーのモデルもフルゴールドのモデルも、実用性の面に何ら妥協はありません。アクティブなライフスタイルに理想的であるだけでなく、ゴールドを巧みに使うことで洗練された雰囲気を醸し出しています。そして何より、あらゆる状況でどのように振る舞えばいいかを熟知しているウォッチなのです。いずれも都会的なスタイリッシュさを備え、どんな時にも作法にかなった振る舞いをし、スイスならではの優れた技巧の産物であることをはっきりと示したモデルに仕上がっています。

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アンガス・デイヴィス オンラインマガジン『ESCAPEMENT』共同創設者

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