ポッドキャスト ポッドキャスト、シーズン2、エピソード9:シモーナ・デ・シルベストロのレーシングキャリアが形成された瞬間

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レーシングドライバーのシモーナ・デ・シルベストロが、電気自動車のレースについて、女性がモータースポーツ界でやっていくことについて、そしてクラッシュが彼女のキャリアをどのように形成したかを語ります。

今回のゲストは、タグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチームのリザーブドライバーを務めるシモーナ・デ・シルベストロ。彼女は、モーターレーシングにおける類稀な才能の持ち主です。そのテクニックと情熱によって、フォーミュラ・アトランティック、インディカーからF1、フォーミュラEへと活躍の場を広げ、2010年には伝説のインディ500で「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」のタイトルを獲得しています。今回私たちは、シーズン8のロンドンE-Prixの前夜、そんなシモーナにインタビューする幸運に恵まれました。彼女は、モータースポーツの世界で女性であるとはどういうことなのか、どのようにしてクラッシュが彼女のキャリアを形作ったのか、そしてフォーミュラEにどんな想いを抱いているのかを語ってくれました。

 

ホストを務める英国 GQ 誌のスタイル・ディレクター、テオ・ヴァン・デン・ブローク氏を相手に、シモーナは、モータースポーツ界のインクルーシビティ(包括性) の状況、インディカー・シリーズに参戦していた当時のこと、そしてタグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチームでの経験などについてその考えを披露します。

ポッドキャスト全編をお聞きになるには、ポッドキャストアプリの検索バーに「The Edge TAG Heuer」と入力してください。

 

ポッドキャストの目的、それは、あなたがご自分の限界を超えるのに役立てて頂けるよう、毎月あなたが必要とするインスピレーションの源になること。

注目! 時間がありませんか?

それなら、スタートラインに立ち、アドレナリンが湧き出るような気分が味わえるダイジェスト版をご紹介しましょう。そして、ポッドキャストに登録する のをお忘れなく。後でエピソード全体を聴くことができます。「The Edge by TAG Heuer」のシリーズでは、可能性の限界で活躍している非凡な人々とのトークを繰り広げます。レースに参加することとそのレースで勝利を手にすることとの紙一重の違い、そして、“エッジ”(私たちを勝利に導くもの) とは何なのか、それを超越するには何が必要かを追求していくシリーズです。

モータースポーツに飛び込んだ少女時代

正直なところ、私は長い間、自分のことをドライバーとしてしか見ていなかったんですよ。そうですよね。当時私は少女だったんです。結構な人数の女子がレースをしていました。10歳から15歳ぐらいまでで、5、6人はいたかと思います。確かに、男子に比べれば、人数は圧倒的に少なかったですが、でも私は特にそのことを気にしたことはなかったですね。私は、ただカートに乗りたかったし、レースで勝ちたかったし、誰よりも速く走りたかっただけでした。自分が男子とは違うなんて考えたこともなかったです。

クラッシュ

2011年にインディで大クラッシュを喫します。でも、それが私のキャリアを形成したと思っています。そのおかげで私のキャリアの話もちょっと面白くなったかなって思ったりして… ドライバーになると、ある種、無敵な気分になったりするんですよ。壁のすぐ横をすごいスピードで走っているんですから、運転中には危険なこともあるはずなんですが、あまり意識しないんです。それが、2011年の事故では、時速370キロで走行中にサスペンションが故障し、横転して火が出ました。気を失って、マシンから出られなかったので、本当に大変でした。消火器を持って助けがやってきて、私を起こし、マシンから引きずり出してくれました。その時は、「もう二度とレーシングカーになんて乗らない!」と思ったんです。

回復

その時初めて「ああ、終わった」と思ったんです。両親もその日すぐに飛行機に乗って、病院に会いに来てくれました。両手にかなりひどい火傷を負っていました。そうしたら母が「もう一回やってみなさいよ」と言ったんです。私が「もうレースなんかしない」と言ったもんだから。母がそういったので、「そうだよね。もう一度試してみてもいいかも」と思いました。それで、次の土曜日に、火傷を負った手のままインディ500の予選に臨みました。

フォーミュラEとこれからのこと

15年前のことを思うと、まさか電気自動車のレースが行われるなんて想像もできなかったですよね。ましてや自分が参戦するなんて。だから、シーズン2で運転したとき、これまでのマシンとあまりの違いと新しさに、多くの人が半信半疑だったのを覚えています。それが今やもうシーズン8を迎えています。この8年間でマシンは大きく進化しました。見た目もカッコいいですよね。ドライバーとしても、このプロセスに携われることは、とても特別なことだと思っています。この40年間で、F1がやってきたことには、安全性の向上を初めとして様々なことが挙げられます。一方、これから起こることを考えると、フォーミュラEは実によくやっていると思います。ドライバーとしては、自分がその一員であることをとてもクールだと思いますし、30年後、40年後に振り返ったときに、「ああ、こうしたマシンたちをすべて自分たちが運転しながら開発してきたんだ」と思えるようになるといいなと願っています。だから、フォーミュラEには、とてつもなく大きな可能性があると思っています。エレクトリックモビリティはクールだし、速いし。そして、それに関われることがクールなんです。

モータースポーツ界のインクルーシビティについて

規模が小さなモーターレーシングのカテゴリーに目を向けると、参戦している女性もずっと多くなります。私はそれが重要だと思うんです。エンジニアリングやメカニックの分野では女性も増えていると思いますが、本当のトップレベルではまだまだ足りないと思います。例えば、本当に成功している女性ドライバーとか。私は幸運にもインディカーで成功を収め、今はポルシェでも結果を出しています。色々なことが起こっていますが、まだあと一歩です。でもそのうちに、私たちの中の誰か、特に私のようなキャリアを積み重ねている女性が、本当にトップのシリーズで、適切なタイミングで、適切なマシンに乗れるようになるだろうと感じています。なぜなら、私は、チャンピオンシップのために戦えることを示せると思うし、それが今も私が戦っていることだからです。願わくば、私がそのレベルに到達することで、このスポーツの多くの視点も変わってくれればと思います。

タグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチームの一員であること

素晴らしいことです! ファクトリードライバーとしては超クールなことだし、特にタグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチームは、間違いなく上位に位置するコンストラクターですから。チームメイトのパスカル・ウェーレインやアンドレ・ロッテラーにしても、レーシングキャリアの中でかなり多くのことを成し遂げてきています。そんな彼らから学び、彼らと一緒に時間を過ごすことは、とても素晴らしいことだと思います。多くのことを学べますし、誰もが自分なりに目指すものがあります。アンドレは日本での戦歴が長かったので、どういった経緯で日本で走るようになったかといった当時の話を聞くのはとても面白いです。そして、タグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチームの仲間がいて。それはとても貴重なことだと思います。