ポッドキャスト ポッドキャスト、シーズン2、エピソード5:ルッソ兄弟がハリウッドで最もホットな2人組になった瞬間とは

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アートハウス映画からアクション超大作まで、今旬の兄弟監督の歩みをご紹介します。

時間が止まってしまう瞬間があります。それは、自分の中に何か偉大なものが現れ出てくる瞬間。そして時の試練に耐える瞬間でもあります。The Edgeは、非凡な人々が、自らの全てを変えてしまったある瞬間にまつわる親密なストーリーを物語るトークシリーズ。世界記録、ワールドチャンピオン、啓示、人生を変える決断。彼らはその瞬間を刻々と再現し、どうやってプレッシャー、恐怖、痛みを克服し、自分を限界に、エッジにまで追い込んでいったのかを語ってくれます。エッジに挑む。

今回のエピソードでは、ルッソ兄弟ことアンソニー・ルッソとジョー・ルッソにインタビュー。クリーブランドのイタリア系アメリカ人の家庭に生まれたふたりは、自主制作のアートハウス映画から、ライアン・ゴズリング主演の新作Netflix映画『グレイマン』のような超大作まで、映画監督という道のりを共に歩んできました。今回彼らは、初期の頃の話、一緒に仕事をするようになったきっかけ、2人で仕事をすることによって生まれるダイナミズム、映画制作のプロセスなどについて語ってくれます。ポップコーンを用意して、ルッソ兄弟がハリウッドで最もホットな2人組となった経緯が分かるインタビューをお楽しみください。

ルッソ兄弟の運命を変えたきっかけに迫るこの番組のホストは、テオ・ヴァンデンブロークです。

ポッドキャストが利用できるお使いのツールで「The Edge TAG Heuer」と検索し、フルエピソードをお楽しみください。

 

 

ポッドキャストの目的、それは、リスナーの自分の限界を取り払うために、後押しとなること。

注目! 時間がありませんか。

それなら、スタートラインに立ち、アドレナリンが湧き出るような気分が味わえるダイジェスト版をご紹介しましょう。そして、ポッドキャストに登録するのをお忘れなく。後でエピソード全体を聴くことができます。「The Edge by TAG Heuer」のシリーズでは、可能性の限界で活躍している非凡な人々とのトークを繰り広げます。レースに参加することとそのレースで勝利を手にすることとの紙一重の違い、そして、“エッジ”(私たちを勝利に導くもの) とは何なのか、それを超越するには何が必要かを追求していくシリーズです。

映画監督を目指したきかっけは

ジョー・ルッソ:20代前半のころだったと思います。当時はお互い他の道を進んでいました。私は、法律関係の仕事をしていましたが、俳優業も視野に入れていたんです。子供の頃から映画が好きだったこともあって、その時点で決断をしました。90年代初頭、サンダンス映画祭は若い映画人の夢を膨らませてくれるところでした。地方で何の見返りもなしに映画を作って、サンダンスに参加し、ハリウッドで「次の大物」として発掘される可能性もあったからです。そこで、映画を作ろうということになったわけです。でも残念ながら、私たちの好みは、サンダンスで爆発的に人気を集めた映画のタイプよりは多少極端で過激なものだったんです。幸運なことに、スティーブン・ソダーバーグ監督に見い出してもらえて、そこから私たちの映画人としてのキャリアが本格的に始まりました。私たちは、同じようなキャリアを歩んできた監督の指導のもと、アート性を重視する自主制作映画からより商業ベースの映画へと移行していきました。

兄弟のダイナミズム

アンソニー・ルッソ:私たちが一緒に仕事をしていることに対して、一般的に2つの反応があります。1つは「こんなふうに自分も兄弟と一緒に仕事ができたらいいな」というもので、もう1つが「信じられない。自分は兄弟とは絶対に一緒に仕事はできない」というものです。このどちらかになることがよくあります。私たちは、映画制作に関してしっかりと研究されたプロセスを持っているわけではありません。私たちの間では、基本的にノンストップで対話が交わされます。そうやって私たちは始めたのです。一緒に映画の作り方を学びました。私たちが生まれ育ったのはクリーブランドで、そこからハリウッドにやってきました。ジョーと私が映画制作について考え始めた頃、私たちはたくさんの本を読み、その本についてお互いに話し合っていました。当時、私たちは正式に映画を勉強していたわけではありません。

私たちは、互いに刺激し合い、共に学び、成長し合いながら、自分たちをどのように表現していくかということを一緒に考え出す一種のパートナーシップとしてアプローチしていく映画制作のプロセスを構築していったのです。やがてそれが自然な流れになっていきます。私たちはイタリア系アメリカ人の大家族の出身なので、家族メンバーそれぞれと密に関わり合うことにある種とても慣れています。私たち2人の関係もそういったところから育っていったわけです。ですから私たちの映画制作のプロセスは極めてインフォーマルなものなんです。

プレッシャーへの対処

アンソニー・ルッソ:私たちのキャリアの中で、チームの全員が自分たちがやるべきことでベストを尽くせるような境遇に到達しています。彼らは、本当に感動的なトップレベルの仕事を提供するのに外部からのモチベーションをほとんど必要としていません。ですから、私たちの仕事は基本的に、誰もが気持ちよく過ごせ、十分にサポートされているようにすることなので、セットではとてもカジュアルな雰囲気を作り出すことに務めています。誰もが集中していて、仕事は真剣です。時には危険なアクションを伴うこともあるので、常に集中力が必要なのですが、撮影の合間はリラックスして楽しめるように心がけています。映画の仕事はハードですからね。役者もスタッフも体力的にきついし、映画の素材がかなり暗くて緊張を強いられることもあります。映画の撮影はかなりのプレッシャーがかかるので、撮影の合間には、現場にいる人たちの間に笑顔が絶えないよう、充実した時間を過ごしてもらえるよう努力しています。人は、健康的なバランスを良好に保ちながら、いい空間で過ごすことが必要です。それは本当に重要なことです。ジョーも私は、そういうエネルギーを自分たちの周りにみなぎらせておきたいんですよ。

なぜ『グレイマン』で彼らは死にそうになったのか

ジョー・ルッソ:前にも言ったことがあるんですが、この映画は本当に死にそうでしたね。セットが9ヵ所もあり、それぞれのセットでの撮影に極めて長い日数がかかりましたから。とても疲れるし、体力勝負です。安全の問題には細心の注意を払う必要がありましたし。睡眠時間は4、5時間。くたくたになりました。精神的にも負担がかかったし、感情的にもストレスが溜まりました。この映画は本当に色々な意味で制作するのがとても大変な映画でした。とにかくアクション満載ですからね。ポップコーンを用意したことさえ忘れてしまう展開です。映画が終わるころになってようやく「わぉ、映画にあまりに夢中になりすぎて、ポップコーンを食べるどころじゃなかった」とため息をもらすような。それがこの映画への私たちのアプローチだったんです。どこまで追い込めるか? どこまで容赦なく作り込めるか? これは、時限爆弾を抱えたような映画で、善と悪が交錯するストーリーの中で両極端の2人が主人公として登場します。

世界中の観客に向けて

アンソニー・ルッソ:私たちは、この映画は素晴らしいクリエイティブな機会だったと考えています。クリエイティブにフレームに収めたわけです。ジョーと私は、世界のさまざまな映画を見て育ちました。クリーブランド・シネマテークの近くで育ったのですが、ここにはアートシネマや世界各国の映画に関する素晴らしいプログラムがありました。ですから、私たちは若い頃から、映画というものが、ある種のローカルな体験をはるかに超えるものであることをとても面白いものだと思っていました。

それが私たちのキャリアを通じての糧となっています。それこそがジョーと私がこうした映画で探している本当のチャンスであり、伝統的なハリウッドの狭いパレットではなく、全世界をパレットにしたときに何ができるかということなのです。その想いが私たちをウキウキさせます。もちろん、それ以外のメリットもあると思います。これまでなかった声を挙げる場やプラットフォームを提供することは、非常に重要です。しかし、私たちにとってその核となるのはあくまでもクリエイティブな機会です。

人生の教訓

ジョー・ルッソ:有名な話があるんですが、ある若い映画監督がスティーブン・スピルバーグに「スティーブン、初めて大きな映画を撮ることになったんです。何かアドバイスしてくれませんか?」と言ったのです。するとスピルバーグは、「身体を鍛えるためのトレーナーを雇うといい。撮影の仕事でボロボロになるからね」と答えたそうです。この映画の撮影でも肉体的な負担は劇的なものでした。撮影中はピザもあまり食べられなかったと記憶しています。

アンソニー・ルッソ:私は、この種の仕事特有の発見のプロセスがとても好きです。つまり、それぞれの映画が、心理的、哲学的、知的、あるいは物理的に、私たちを今まで行ったことのない場所に連れて行く機会であるという点が好きなのです。