スポーツ スキッパー登場

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再利用したトリマランで世界の水路を航行するこのフランス人スキッパーは、自分たちが地球をいかに虐待しているかについての私たちの認識を高めることに心を砕いています。

スキッパー登場

太陽を顔に受け、髪を風になびかせながら、スキッパーのロマン・ピラールは、彼自らがアップサイクルしたヨット 「Use it again!」号の船上で大いにくつろいでいるように見えます。彼は起業家であり、家族思いで、旅をすることや海で過ごすことをこよなく愛しています。子どもの頃から海に親しみ、家族と一緒にブルターニュ沖でセーリングにいそしんだ後も、通っていたフランスのエセック・ビジネススクール(ESSEC) でレガッタに参加したりしていました。その後すぐに、ツール・ド・フランス・ア・ラ・ボイルのヨットレースに参戦し、その他の選手権や大会にも参加しました。現在は、フランス最大のヨットレース「ツール・ド・ベル・イル」のCEO、創設者、主催者として活躍しています。

 

世界の水路を航海し、プラスチックが投棄され、汚染した海の中を航行した経験から、ピラールは、世界的な過剰消費は言うに及ばず、海が直面している環境危機を痛感するようになります。だからこそ、地球の未来を変えることが彼の使命なのです。この航海の旅を通して、彼は、私たちが環境に与えている悪影響に注意を喚起し、願わくば、私たちが自分たちの行動をどのように変化させればよいかを認識するようになってもらいたいと考えています。

風、潮流、マルチハル艇操縦の複雑さなど、どんなコースを採ろうと、彼と彼のクルーは日々困難に直面しています。タグ・ホイヤーは、空の様子や天候などを見守りながら、ロマンのこの崇高な冒険旅行のパートナーとして、彼が勇敢に旅程を進めていくのに寄り添っています。船上にいるロマン、より具体的に言えば、船上にいるロマンの手首には「タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 ナイトダイバー」が寄り添っています。

他には考えられない名前のヨット

ロマンのトライマランは、元々、英国人セーラー、エレン・マッカーサーのためにオーストラリアで製作され、2005年にワールドツアーで忘れがたい世界記録を達成した(3年後にフランシス・ジョヨンによって破られましたが) ものであることから、ヨットレースの歴史に足跡を残す名船です。ただし、この壮絶な勝利の代償として、ヨットはボロボロになってしまいます。ロマンは、再びこのヨットを使えるようにするため、全面的な改造を自ら計画します。2017年、循環型経済の促進と発展に取り組む公的機関、「Use It Again Endowment Fund」の支援を受け、ロマンはコンパクトなマルチハル艇を、彼のセーリングニーズと環境への配慮に合わせて改造したのです。

チームは可能な限りアップサイクルやリサイクルされた素材を採用し、トライマランにソーラーパネルやテクニカルファブリックを装備しました。その結果、海上にたっぷりある風、水、太陽によってもたされるエネルギーをミックスさせることで走るヨットが誕生しました。このヨットは、2018年のルート・ド・ラムで4位になったこともあり、すでに優れたパフォーマンスの歴史を築いています。南米大陸の最南端、ウシュアイアからフランスのロリアンまでの25,000海里に及ぶ西回り旅を続けるこの名船をロマンが操縦します。このヨットで地球一周を目指すことで、ロマンは自分の主張をアピールし、世の中にインパクトを与えたいと考えています。

© Antoine Dujoncquoy.com - ロマン・ピラール - Use It Again! 号

目的を持ったセーリング

何より、ロマンは世界中を航海しながら、人々の環境に対する意識や感性を高め、環境の修復に貢献しようとしています。彼はアップサイクルされた自然動力のヨットを通して自分の主張を発信し、これがセーリング競技の世界で強力な主張となっているだけでなく、世界の水路を守るために活動する団体「RespectOcean」のアンバサダーも務めています。これによって彼は、海洋学者たちが海洋の汚染レベルを示す世界初のソナーマップを作成するのにも協力することになっています。

© Antoine Dujoncquoy.com - ロマン・ピラール - Use It Again! 号

航海中にデータを収集し、サンプルを採取することで、ロマンと彼のクルーは科学者や保護活動家にリアルタイムで豊富な情報を提供し、例えば、世界のあまり知られていない地域のクジラの群集のウェルビーイングを追跡するのに役立ててもらうことを目指しています。彼が環境問題から意識をそらすことはありませんでしたが、それは、モーリシャス沖での乱獲、海面に浮かぶ油や石油残渣といった、人類が地球に及ぼしている悪影響の数々の痕跡を目の当たりにしたためでもありました。また彼は航海中、環境の専門家たちにも会い、自然界について重要な話し合いを企画する計画も立てています。真実と向き合うのは、時につらいものですが、ロマンと彼のチームは、自分たちを励ましながら、観察し、気づき、学んだことを分かち合っています。

タグ・ホイヤーは、ロマンの冒険旅行をサポートしながら、彼の目的を持った熟練した航海術を身をもって体験しています。