時計 究極のコレクターズガイド:タグ・ホイヤー アクアレーサー
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ホイヤー Ref. 844、1978年
ウォッチコレクションは、人気の高まりによって生まれる需要、スタイルの変化、技術革新などによって変化します。年月が経つにつれて、モデルのサイズが大きくなったり小さくなったり、重視されるポイントが実用性からエレガンスに変わったり、異なるムーブメントに切り替わったりします。さらに、シンプルな3針ウォッチから複雑なクロノグラフまでの中に、様々なバリエーションが加わり、選択肢が無限大に広がります。
タグ・ホイヤーの歴史の中では、モータースポーツやアビエーションに焦点を当てたコレクションが多い中、アクアレーサー・コレクションは一線を画しています それはこのウォッチシリーズが、セーリングからダイビングまで、あらゆるウォータースポーツのためにデザインされたものだからです。アクアレーサーは今も発売以来の「6つの特徴」(200m防水、ねじ込み式リューズ、ダブルセーフティバックル、逆回転防止ベゼル、サファイアクリスタル、夜光表示) を堅持しているコレクションで、1978年に誕生したホイヤー初のダイビングウォッチの直系にあたります。オータヴィア、カレラ、モナコの各コレクションの誕生は1960年代ですので、2000シリーズ、つまりアクアレーサーは、トータルで40年以上にわたって製造が続く、タグ・ホイヤーのコレクションの中でも最も歴史が長いモデルとなっています。
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ホイヤー Ref. 844、1978年
1970年代後半に登場したタグ・ホイヤーのダイバーズウォッチは、時代や技術の進歩、時計愛好家たちの好みに合わせて変化しながら、優雅に数々の進化を遂げてきました。ホイヤーにとって初のダイバーズウォッチとなる「1000シリーズ」を発表したのは1978年。以来このコレクションは、人気の高まりに合わせて、急速に発展していきます。ホイヤーはこの「1000シリーズ」の魅力をベースに、1982年に「2000シリーズ」を誕生させ、1998年まで製造を続けました。この「2000 シリーズ」は、スタイル、カラー、素材のバリエーションが豊富で、ダイバーズウォッチというカテゴリーに “ファッション性” を加えた、非常にエレガントなコレクションでした。2000シリーズは第3世代になると「クラシック」「エクスクルーシブ」「スポーツ」の3つのサブコレクションに分けられるようになります。やがて2000シリーズは「スポーツ」シリーズの特徴を取り入れ、第4世代となる「アクアレーサー」シリーズへと移行していきます。
アクアレーサーの原点
2000シリーズの第3世代が登場した1998年、コレクションは「2000クラシック」「2000エクスクルーシブ」「2000スポーツ」の3つのラインに分かれます。2000クラシックは、2000シリーズの伝統的なスタイルを踏襲し、2000エクスクルーシブは、より重厚感のある力強い印象のベゼル、スタイルを一新させた針、ダイヤル上の6、9、12の大型の数字が目を引く大胆なモデルとなっています。
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タグ・ホイヤー スーパープロフェッショナル 1585TH、1983年
さらに、2000スポーツモデル(アクアレーサーの前身) は、アルミ製ベゼルで、ダイヤル上には夜光塗料を塗布した数字が並び視認性を高めています。こうした2000スポーツ モデルには、伝統的なメルセデス スタイルの針や赤/黒ベゼルなど、ホイヤー当初のダイバーズウォッチからのスタイル要素も取り入れられています。2000スポーツの最初のラインアップは、その後間もなく新たに「アクアレーサー」に取って代わられることになるため、モデル数は比較的少なめでした。
2000スポーツ シリーズの活躍期間は短く、2002年に製造終了となってしまいましたが、2004年に「2000アクアレーサー」として復活を遂げます。つまり、アクアレーサーは、2000シリーズ ダイバーズウォッチの第4世代ということになります。
アクアレーサー初代モデルでは、ダイヤルに AQUQRACER ではなく professional と記されていましたが、カタログでは「2000アクアレーサー」と表記され、この名称がそのまま定着してしまったのです。ダイヤルに合わせたアルミ製ベゼル、ダイバーが時刻を確認しやすいイエローの秒針、200mから300mに向上した防水性などが初代モデルの特徴です。この初代2000アクアレーサーは大成功を収め、タグ・ホイヤーが2005年に2000シリーズのフルモデルラインを「アクアレーサー」としてリニューアルするきっかけとなりました。
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タグ・ホイヤー アクアグラフ 1009TH、2003年
第1世代:2005~2009年
2000シリーズからアクアレーサーへの移行に伴い、各シリーズの名称も変更されました。
- 2000クラシックと2000エクスクルーシブの両シリーズをアクアレーサーに改称
- 2000アクアレーサーをアクアレーサー 300mに
- 2000アクアグラフ クロノグラフは、シンプルにアクアグラフに
- 新しいアクアレーサーモデルもローンチ
新しいアクアレーサー シリーズのケースサイズは、38.4mm(主にクォーツウォッチ) と41mm(主に自動巻ウォッチ) の2種類が用意されました。
アクアレーサー キャリバー16 クロノグラフ
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CAF2110.BA0809
アクアレーサー キャリバー16 クロノグラフの初代モデル(Ref. CAF2110) は、2005年に41mmケース、ブラック、ブルー、シルバーの3色のダイヤルカラーで発表されました。2006年には、2つ目のキャリバー16 クロノグラフ(Ref. CAF2010) をシリーズに投入。このモデルは、デイデイト機能を備え、ダイヤル外周に円形のパターンを施しています。デイデイトモデルは43mmケースとなりましたが、デイト表示のみのモデルは41mmケースが継続されました。
ダイヤルが違うだけでなく、2モデルのキャリバー16は、クロノグラフ プッシュボタンのデザインも異なっており、41mmの初期モデルはラウンドプッシュボタン、後期モデルはレクタンギュラープッシュボタンになっています。
アクアレーサーのクォーツウォッチと300m 1/10秒クロノグラフ
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CAF1110.FT8010
38mmのクォーツモデルは、従来の2000シリーズに最も近いデザインですが、ダイヤルのデザインはアップデートされています。針やインデックスが新しくなり、ベゼルも10分マーカーが大型化。ベゼルのスタッズにはポリッシュ仕上げが施されています。ケースの基本形は同じままです。その原型は1982年まで遡ることができますが、サイズは37.2mmから38.4mmへとわずかに大きくなっています。このシリーズのもう1つのクォーツモデルが、1/10秒クロノグラフ。41mm径のキャリバー16 クロノグラフと同じケースデザインとラウンドプッシュボタンを備えています。ダイヤルカラーは、ブラックにホワイトのレジスター(CAF1110) 、シルバーにブルーのレジスター(CAF1111) 、ブルーにホワイトのレジスター(CAF1112) と、それぞれコントラストが鮮やかなカラーコンビネーションとなっています。
この時期のタグ・ホイヤー ウォッチの多くがそうであったように、クォーツモデルにはカラーのタグ・ホイヤーロゴが、自動巻ウォッチにはモノクロのロゴが配されています。
アクアレーサー自動巻ウォッチ
アクアレーサーの自動巻ウォッチには、オートマティック2000 シリーズに引き続き、ダイヤルにはクル・ド・パリ装飾(ギョーシェ模様の一種で、中空ラインが交差して小さなピラミッド型を形成し、ホブネイルと呼ばれることも) が採用されています。ただし、クォーツ3針ウォッチの変更に合わせてインデックス、針、ベゼルの改良と言う形でデザインには変更が行われる一方、ダイヤルには AUTOMATIC 300 METERS が表示されるようになりました。このシリーズの全てのウォッチが、キャリバー5 ムーブメントを搭載し、同じ38.4mmのケースを使用しています。
その他の第1世代モデル
初代アクアレーサーが製造された4年間で、タグ・ホイヤーは複数のニッチモデルを発表しましたが、その多くはキャリバー16 クロノグラフのケースを使用していました。例えば、2008年に発表されたグランドデイト 2モデルは、カレラ キャリバー1 のダイヤル(ダイヤル下側に半円形の秒針) を想起させるデザインでした。
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CAF1011.BA0821
革新的なキャリバーSムーブメントはアクアレーサーに搭載され、左下のアクアレーサー・クロノタイマーにはクォーツとアナログのハイブリッドムーブメントが搭載されています。クロノタイマーには、鮮やかなイエロー ダイヤルのタイプ(CAF1011) もありました。
ムーブメント
初代アクアレーサー シリーズに搭載されたムーブメントは以下のとおりで、その多くが長年にわたって使い続けられています。
- アクアレーサー 300m:ETA F06 111
- アクアレーサー キャリバー16 クロノグラフ:バルジュー 7750
- アクアレーサー キャリバーS:タグ・ホイヤー キャリバーS
- アクアレーサー クォーツ クロノグラフ:ETA 251.262
- アクアレーサー 自動巻:キャリバー5
- アクアレーサー クロノタイマー:ETA E20.321
第2世代アクアレーサー:2009~2012年
第2世代アクアレーサーでは、シリーズが2つに分けられ、従来の丸みを帯びたケースデザインは継続して搭載され、より角張ったシャープなエッジのケースは、新しいコレクションである「アクアレーサー 500m」に導入されました。
アクアレーサー 500mのキャリバー5 ウォッチとキャリバー16 クロノグラフ
2003年に登場したアクアグラフ クロノグラフは、水深500mの防水性を備えていましたが、アクアグラフの製造終了に伴い、この500mの防水性を備えた新しいハードコアのダイバーズウォッチが必要となったのです。
2009年に発表された初代アクアレーサー 500mは、オリジナルの2000シリーズの曲線を排除した大胆な新型ケースに、メタル製アプライドインデックス付きラバーリッジ ベゼル、大型リューズ、ヘリウムエスケープバルブなどを備え、モダンクラシックなデザインに仕上がっています。500m防水性の新型アクアレーサーは、ダイヤルに縦のリブ模様が入り、キャリバー5 とクォーツモデルでは、9時位置にサイクロプスレンズ付きの日付表示が配置されました。
また、ラバーストラップにも新しいデザインが採用され、スクリューヘッド装飾が施されたエンドピースが装着されるようになりました。
WAJ2180.FT6015
この新シリーズの中の代表格が、アクアレーサー 500m フルブラック(WAJ2180) 。ブラック仕上げのチタン製ケースとダイヤル上でイエローの夜光塗料が塗布された針とインデックスが存在感を際立たせています。
アクアレーサー 300mシリーズ
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WAP1111.BA0831
新しいアクアレーサー 500mに加え、クォーツウォッチと機械式3針モデル、アラーム機能が付いたバリエーションモデル(WAP1112)、キャリバー16 クロノグラフ(CAP2112)、グランドデイト(WAF1014) を初めとする300mシリーズも展開されます。
こうしたモデルは、アクアレーサーの伝統的な外観を継承しつつ、大胆な新型500mモデルよりも落ち着きのある、洗練されたデザインになっています。
第3世代:2012~2014年
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WAK2110.BA0830
2012年、タグ・ホイヤーはアクアレーサー 500mモデルをリニューアルします。従来の500mケースのエッジの効いたデザインから、より伝統的でソフトなスタイルのケースに変更し、重要な新機軸となるセラミック製ベゼルを採用します。ケースサイズは43mmから41mmになり、ダイヤルのリブ模様が水平になり、日付は従来の3時位置に戻されました。ステンレススティール製モデルは、ブラック ダイヤル(WAK2110)、ブルー ダイヤル(WAK2111)、シャンパン ダイヤル(WAK2121)、バイメタルのブルーダイヤル(WAK2120) をラインアップ。今回初めてチタンカーバイド製のフルブラックケース(WAK2180) も登場しています。
アクアレーサー 500m クロノグラフ キャリバー16 とキャリバー72
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CAK211A.BA0833
第3世代のアクアレーサー シリーズには、いずれもステンレススティール製43mmケースの自動巻クロノグラフが2種類登場しました。”伝統的な” キャリバー16と新しいキャリバー72 カウントダウン クロノグラフです。オラクル・チームUSAの72フィートのカタマラン(双胴船) にちなんで名付けられた「キャリバー72」を搭載したクロノグラフは、オラクル・チームUSA アメリカズカップ リミテッドエディション(CAK211B) と通常製造モデル(CAK211A) がありました。
第4世代:2014~2021年
第4世代のアクアレーサー コレクションでは、アクアレーサー 500mシリーズが終了し、新たにステンレススティール製ベゼルとカラーセラミック製ベゼルの2種類のアクアレーサー 300mシリーズがデザインされました。
第4世代における最も大きな変更点はおそらく、ベゼルのデザインが先代のギザギザしたものからフラットなエッジに変更されたことでしょう。ダイヤルに注目すると、新しいアクアレーサー 300mシリーズでは、ポリッシュ仕上げのトライアングル型インデックスが大きくなり、スイープセコンドには先端にカラーリングが施された新しい大型の針がセットされました。
アクアレーサー 300m キャリバー5のステンレススティール製ベゼル
この新しいフォルムを採用した最初のモデルが、前モデルの模様入りダイヤルを引き継いだ2014年の「アクアレーサー キャリバー5」ウォッチです。アクアレーサー 300mは、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせた40.5mmのステンレススティール製ケースを採用し、新たにデザインされたラバーストラップと、グランド カレラ シリーズに初めて導入されたタグ・ホイヤー”Hリンク”ブレスレットも付属しています
2017年には、セラミック ベゼル仕様と同じインデックスと針を備えたキャリバー5のセカンドモデルが追加され、ダイヤルには「Calibre 5」がカラーで印字され、日付表示の上にはサイクロプスレンズが追加されています。
アクアレーサー 300m クロノグラフ ステンレススティール製ベゼル
キャリバー5 モデルの外観は、クォーツの1/10秒グランドデイト モデルと自動巻キャリバー16 モデルの2種類となり、この2つのクロノグラフは、いずれも43mmの大型ステンレススティール製ケースを採用しています。
また、54石のムーブメントを搭載した機械式クロノグラフ、キャリバー45 も新たに登場しました。このモデルは、9時位置にクロノグラフのミニッツレコーダー、6時位置にアワーレコーダー、3時位置に秒針を備えています。ダイヤル上側の目立つ日付表示が特徴で、ビッグデイトと呼ばれています。
アクアレーサー 300m キャリバー5 のセラミック製ベゼル
2015年、アクアレーサー 500mシリーズに代わり、新たにセラミック ベゼル アクアレーサー 300m が登場しました。ステンレススティール製ベゼルのウォッチをベースに、アクアレーサー 300m セラミックではインデックスがさらに大きくなっています。キャリバー5 シリーズは、当初41mmケースで展開されていましたが、2016年に43mmのオプションが追加されました。
アクアレーサー 300m キャリバー5 セラミックベゼル – スポーツ モデル
2017年には、コレクターが「スポーツ」シリーズと呼ぶアクアレーサー キャリバー5 ウォッチが発表されます。カモフラージュ柄のダイヤルや、同色のストラップを初めとする鮮やかな色使いなど、バリエーションも豊富です。2018年には、カーボンファイバー製ベゼルを採用したモデルも登場しました。
アクアレーサー 300m キャリバー16 のセラミック製ベゼル
アクアレーサー 300m セラミック製ベゼルのシリーズには、43mmのクロノグラフシリーズもあり、キャリバー5 ウォッチのデザインの華やかさをより大型径のクロノグラフケースに組み合わせています。
サマリー
ホイヤーは1978年に初のダイバーズウォッチを発表し、実用性を第一に設計した1000シリーズ モデルを登場させると、1982年にはファッションの要素をプラスし、より広くアピールする2000シリーズを投入することで、ダイバーズウォッチのコレクションを充実させました。多様なダイバーズウォッチ シリーズが成功し、従来のダイバーズウォッチよりもエレガントなコレクションが加わった後、2004年には2000シリーズが「アクアレーサー」と改名し、最も頑丈で信頼性の高いダイビング用ツールを提供することに回帰します。以来、アクアレーサーは、3針ウォッチとクロノグラフの両方を含む、幅広いスタイル、カラー、素材、ムーブメントをラインアップしたコレクションとなったのです。ダイビングのための最も信頼できるツールを、精度、デザインともに妥協することなく提供すること。それがタグ・ホイヤー アクアレーサー コレクションの揺るぎない信念です。