スポーツ 長時間の取り組み

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耐久レースの中核にあるシームレスな共同作業 私たちは、WECに参戦するポルシェファクトリーとレーシングクルーとともにピットに入り、耐久レースの舞台裏に迫ります。耐久レースの最終結果は、チームワークの賜物です。

アラゴンでの練習ガレージ

モータースポーツの一形態である耐久レースは、1世紀以上も前から行われています。現在、その最も有名な大会は、レース界では「トリプルクラウン」として知られ、フロリダ州デイトナ、フロリダ州セブリング、フランスのル・マンで開催される、12時間 – 24時間の3つの耐久レースです。

このような厳しい長距離レースではレースカーの耐久性(ドライバーも同様) が試され、長時間持続できるパフォーマンスが求められます。ただし、その作業はドライバーがエンジンを始動させるずっと前から始まっています。タグ・ホイヤーはポルシェチームの誇り高きスポンサーおよびパートナーとして、特別にチームのドライバーやエンジニアに会うことができました。そして、このような過酷なレースに参加するための計画立案、準備、正確さ、そして言うまでもありませんがチームワークについて直接知ることができました。

この共同作業の複雑に絡み合う関係は、一台のマシンのためにチームを構成するドライバー達だけでなく、エンジニアやピットクルー、観客にさえ広がっています! スタートの合図が出るずっと前から、何十人もの熟練の技術者がドライバー達とともに複数のテストを実施します。これらのテストによって、チームは、細かな部分まで微調整を行い、ぎりぎりまでパフォーマンスを最適化できます。この作業が、特に24時間続くレースにおいて、勝利と敗北の差を生みます。

2021年のドリームチーム

今年は、国際レースの経験が豊富な2つの専門家チームが、世界中で行われる様々な耐久レースにおいてポルシェチームを牽引します。91号車:ジャンマリア・ブルーニ、リヒャルト・リーツ、フレデリック・マコヴィッキィ。92号車:ケビン・エストレ、ニール・ジャニ、ミカエル・クリステンセン。ニール・ジャニは次のように述べています。「私は、今年のポルシェのドライバーのラインナップはこれまでの中でも最強だと思います」。そして、優れた知識や経験で両マシンの成功を支えるのは、数十人の一流のエンジニアとメカニックです。私たちは、スペインのアラゴンでクルーに会いました。ここでは、ポルシェチームが、フランスのレースコースに似た長い直線があるコースでマシンのテストを行っています。

細部に潜む悪魔

ドライバーのケビン・エストレの言葉によると「モータースポーツは、細部が勝負です」。 これは、サーキットの温度からタイヤの空気圧、天候、ネジ一つの締付、そして、ありとあらゆるすべてのことを意味します。これらの細部に磨きをかけるには、膨大なデータ量、分析、厳格な基準に対する継続的な改善が求められます。アラゴンでのガレージで、レースメカニックの一人であるダニーが、彼らが行っている作業は「ミリ単位や0.5ミリ単位で話している」と説明してくれました。マシン一台が1.3トン以上であることを考えると驚くべき精度のレベルです。さらに、サーキットで最高の結果を出すために、一日あたり何十セットものタイヤをテストします。ケビンは次のように説明します。「メカニック全員、エンジニア全員、データエンジニア全員が重要です。あらゆる細部によって、私たちは速くなり、マシンが信頼できるものに仕上がり、レースで勝つことができます」。そして障壁を乗り越えたとき、「時間かけた分、懸命に作業した分だけレースの勝利へつながる」 ということを間違いなく体験します。

« モータースポーツは、細部が勝負です。 »

ケビン・エストレ ポルシェドライバー

光の速さで

24時間続くレースにおいては、昼のレースと夜のレースの2つのレースに出ているようだという声が聞こえるように、レース中の状況は大きく変化します。  温度、視界、エンジン性能の大きな違いのため、タイヤテストなどのシンプルな作業が必須になります。耐久レースでは、ドライバー達はあらかじめ決められたシフトで運転します。一方、メカニックやエンジニアのチームは、タイヤ交換や発生した障害を解決できるように24時間体制で対応しなければなりません。そして、彼らはピットストップの間、それを素早く行わなければなりません。4人一組のチームが、全部で4つのタイヤをあっという間に交換できなければならないのです!

孤独ではない

耐久レースでの運転は孤独な作業に見えるかもしれませんが、実際のドライバー達が努力しているとき、彼らは全く孤独ではありません。ポルシェワークスドライバーのフレデリック・マコヴィッキィは次のように説明しています。「最後の最後で表彰台に上がるのがドライバーだけであっても、私たちには、メカニックからタイヤ担当、エンジニア、マネジメントまで、レースに参加するには全員が必要です。一人一人が私たちに100%の力を発揮させてくれる役割を持っています」

ポルシェドライバーのケビン・エストレも同じことを感じています。「最終的には、私たちは一人でマシンに乗っていますが、舞台裏にはほんとうにたくさんの人々がいて、私たちが安全に高速で走れるように支えてくれています」。実際、ドライバー達によると、彼らのサポートにはメカニックやエンジニアの他にも、大会開催関係者、テスト実施者、移動計画者、そしてケータリングに携わる人々さえも含まれます。

アラゴンでの練習ガレージ

頼もしい仲間たち

成功するチームを作ることは、チームメイトを徹底的に知るということです。そして、耐久レースの世界においては、なおさらそうです。ポルシェドライバーのミカエル・クリステンセンによると、「私たちは、共に一生懸命働き、信頼を構築し、関係を築き、互いを理解します。そして、そのようにして互いを新しいレベルへ押し上げます。コミュニケーションと信頼がすべてです」

アラゴンでの練習ガレージ

ドライバー達はサーキット上にいても、常時、チームと無線でつながっています。FIA WECオペレーションマネージャーのアレキサンダー・シュテーリッヒ は、求められる総合的なチームワークの複雑さを強調します。「一人一人がなすべきことを知っており、互いに信頼しています。各自がこの責任を持っており、私たちは共に強くなります。それが私たちの原動力です」

一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために

24時間レースで勝利するには、自制心、重労働、長い時間が必要です。しかし、私たちは一人でできないことをしばしば一緒に行います。そして、信頼できるドライバー達、熟練のメカニック、細部まで気を配るエンジニアの大きく強力なサポートのネットワークが不可能に思えることを可能にします。最終仕上げ? 沿道で声援を送る観客も一体です。実際、観客もチームの名も無きメンバーといえるでしょう!

91号車と92号車の幸運を祈ります。ポルシェWECチームのパートナーおよびスポンサーとして、タグ・ホイヤーは常に応援しています!