ポッドキャスト ポッドキャスト、シーズン2、エピソード10:イアン・ロジャーズ - Web3によって世界は、そしてラグジュアリーウォッチメイキングの未来はどう変わるのか

7分

Web3のビジョナリーであるイアン・ロジャーズが、NFT、クリプト、そしてタグ・ホイヤーのウォッチを他とは別格にする要素について語ります。

時間が止まってしまう瞬間があります。それは、自分の中に何か偉大なものが現れ出てくる瞬間。そして時の試練に耐える瞬間でもあります。The Edgeが贈る、非凡な人々が、自らの全てを変えてしまったある瞬間にまつわるストーリーを物語るトークシリーズ。世界記録、ワールドチャンピオン、啓示、人生を変える決断。そうした瞬間を回想し、どうやってプレッシャー、恐怖、痛みを克服し、自分を限界に、エッジにまで追い込んでいったのかを語ってくれます。

今回のゲストは、Ledger の最高経営責任者、イアン・ロジャーズ氏。真のビジョナリーであるイアンは、常に一歩先を歩いています。インターネットやデジタル音楽に早期に手を付けた先駆者である彼は、何かが起こる前に、その未来を見据えているのです。ビーツ・ミュージックとアップルで音楽の世界に革命を起こす手助けをした後、イアンは、LVMHのチーフ・デジタル・オフィサーとして変革的な5年間を過ごしました。そして今、彼はWeb3の世界を導いています。

イアンと話をしていると、まるで水晶の中に未来が見える誰かと話しているような気がしてきます。彼は、NFT、クリプト、そしてラグジュアリーウォッチメイキングの未来に関する、深く詳細な見解を教えてくれました。また、彼を魅了するデジタルの世界やクリエイター、創造性などについても語ってくれました。明るく、魅力的な会話となりました。ホストは、ソーホーハウスのエディトリアル・ディレクターを務めるテオ・ヴァン・デン・ブロウク。イアン・ロジャーズの頭の中を通して、エキサイティングなWeb3の世界を覗いてみてください。

ポッドキャスト全編をお聞きになるには、ポッドキャストアプリの検索バーに「The Edge TAG Heuer」と入力してください。

 

ポッドキャストの目的、それは、あなたがご自分の限界を超えるのに役立てて頂けるよう、毎月あなたが必要とするインスピレーションの源になること。

注目! 時間がありませんか?

それなら、スタートラインに立ち、アドレナリンが湧き出るような気分が味わえるダイジェスト版をご紹介しましょう。そして、ポッドキャストに登録するのをお忘れなく。後でエピソード全体を聴くことができます。「The Edge by TAG Heuer」のシリーズでは、可能性の限界で活躍している非凡な人々とのトークを繰り広げます。レースに参加することとそのレースで勝利を手にすることとの紙一重の違い、そして、“エッジ” (私たちを勝利に導くもの) とは何なのか、それを超越するには何が必要かを追求していくシリーズです。

初期のインターネットを現代のデジタル資産のアナロジーとして考える

ここでの最良のアナロジーは、2000年代初期の人々にとってインターネットとはどんなものだったのか、ということです。自分自身が参加しなければいけないというものではありませんでした。参加することもできるもの、でした。それは、現代のデジタル資産に関しても同じこと。様々な方法で参加することができます。そして、結構楽しいんです。デジタル資産というウサギ穴に頭を突っ込んで、何も変化を遂げることなく出てくるようなインテリな人にはまだ会ったことがない。

デジタルテクノロジーに向けられる疑問の目

信用できないという人々がいることは、理解できます。でも正直言って、どうでもいい。デジタルテクノロジーの浸透は、避けることはできない。僕がいようがいまいが、必ず起こることなんです。そして未来の世代も、これを引き継ぐし、欲するでしょう。

ウォッチの蒐集とNFTコミュニティーの類似点

より良く時間を告げるから、という理由で高級時計を買う人はいませんよね。それはまったくモチベーションにならない。その時計が美しいから購入するんです。技術によるクリエーションだから。そして、美しく、技術によるクリエーションであるデジタルアートはたくさん存在するんですよ。そこに付随しているのがコミュニティです。ラグジュアリーウォッチとは何か。それは、美です。技術を駆使したクリエーションです。そしてそこには、コミュニティがあります。

デジタルの力

ウォッチコレクションとデジタルなラグジュアリーコレクションについて考えてみてください。僕はとても素敵なウォッチをいくつか持っていて、金庫に保管しています。そのウォッチに何のオファーもありません。誰にも見せることはできません。いや、僕の子供たちが受け継ぐことになるのかな。うん、それは素敵ですね。さて、ウォッチと同様技術を駆使して創られたデジタルコレクティブルが、僕のLedger ウォレットに保管されていることを想像してみてください。しっかりと保管されていますが、同時に人々に見てもらうこともできる。所有者が僕であることも見せることができるし、そのコレクティブルにオファーを受けることもできる。人々がそれを購入したいと思ったとしたら、それこそが僕らが目指している世界です。だから僕は、「実物 vs. デジタル」として区別するのは間違っていると思うんです。それって実は、逆だと思います。デジタルはおそらく、さらに価値を高めて行くでしょう。

TAG Heuer ConnectedにNFTを取り入れた機能が加わったことによる、イアンの見方の変化

僕、TAG Heuer Connectedを毎日着けているんですよ。服装によって表示されるNFTを変えるんです。NFTを表示する機能が加わってから、僕とTAG Heuer Connectedの関係は変わりました。今ではウォッチにもっともっとエンゲージするようになりましたから。これが世界でたったひとつのものになるということが、僕にとってはとても重要なんです。自分が身に着けているウォッチと同じものは誰も持っていない。だって、このNFTを所有しているのは僕だけだから。そうでしょう? 世界50本限定のウォッチを持っている人もいるでしょう。25本限定のものを持つ人も。でも、僕のウォッチは世界で1本。僕にとってはとても大切なことなんです。しかも毎日変えることができる。実際のモノとして身に着けることができるんです。他の誰かがこれを気に入るか否かは、問題じゃない。僕が参加しているコミュニティの人々にとっては、大切なこと。だから、僕にとっても大切なことなんです。

新しいテクノロジーが世界に普及するまでにかかる時間

新しいテクノロジーは、必ず普及する。ただし、時間はかかります。僕がいつも言っているのは、こういうことは、想像できるようになるところから始まって大規模な実現にこぎつけるまで、15年はかかるということ。みんな、15ヶ月程度だと思っている。でも、そんなに短いわけないんです。

自分のレガシーとして遺したいもの

僕は常に好奇心旺盛で、「次はどうなる?」ということばかり考えています。そして、常にエグゼクティブ・プロデューサーの立場で、クリエイティブな誰かの隣に座っている役割を担ってきました。レガシーという意味では、このままでいたいと強く思います。だからこそ、僕はアルノー一家を心から尊敬しているんです。彼らはエグゼクティブ・プロデューサーとして、世界中のクリエイティビティの裏舞台にいるのです。

僕は、クリエイティビティを深く信じ、常に物事を前に進めるために尽力し、クリエイティブな人々をオーディエンスとつなげる人物として、レガシーを遺したい。誰もが成功を手にするわけではないということを知りながら、新しいキャンバスを広げ、クリエイティブな人々とオーディエンスを繋げる新しい方法を編み出した人物として。

新しいテクノロジーが与える環境への影響

このトピックに深入りすべきか、ちょっとわかりませんね。イーサリアムだって、今はプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステークに移行して、クリプト周辺の一般的な環境問題の懸念が払拭されましたしね。だから、イーサリアム、NFT、コレクティブルについては、環境への影響という点について話されることがなくなった。嬉しいですね。これがコモディティにどう適用されるのかは、さだかではないです。例えば、ファストファッションは、“モノがありすぎる”という問題を促進している。そうですね、ラグジュアリーファッションと比較したときに。ラグジュアリーファッションやグッズは、ファストファッションよりもはるかに品数が少ない。ラグジュアリー企業の目的は、再入荷などせずに商品を売り切ってしまうことです。どんな場合も、というわけではないでしょうが、でもこれが真の目的です。ラグジュアリーウォッチだって、地球上の“モノがありすぎる”という問題にそんなに加担しているとは言えないでしょう?

タグ・ホイヤーとNFT

これについては、タグ・ホイヤーのチームは素晴らしい仕事をしたと思います。2021年の初め、フレデリック・アルノーとこのトピックについて話しましたよ。CryptoPunksやDeadfellaz 、Bored Ape [Yacht Club]などのNFTコミュニティの人々がとてつもなく情熱的だということがわかりました。それから、僕がDeadfellaz のオーナーになったということも。Deadfellaz のTシャツは欲しいと思わない。Deadfellaz 自体が欲しいんです。そうした思いがあるから、ウォッチフェイスのアイデアに魅了されます。タグ・ホイヤーがスーパーマリオとコラボレーションしたウォッチがありますね。リミテッドエディションのウォッチです。そしてウォッチフェイス。とてもクールで、ただのマリオの絵ではなかったんです。動きを見せてくれる。一日を通して変わるんです。たくさん歩いた時は、マリオも速く歩いたり。CryptoPunkよりクールじゃないですか?

 

そして、「ちょっと待て。量産されるモノではなくて、あのウォッチフェイスが、あの超クールでインタラクティブなデジタルウォッチフェイス自体がリミテッドエディションだったとしたら」と思ったのです。だから、量産商品から、自分が所有しているアートを利用できるリミテッドエディションになった事はとても良かったと思います。今この場でにマーケットプレイスに行って、そこで何かを購入して、すぐにウォッチに取り込むことだってできてしまうんですから。まさに、世界でひとつのウォッチというわけです。