時計 デザインのストーリー第2回:タグ・ホイヤー アクアレーサー

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アンガス・デイヴィス Escapement Magazine 共同創設者

第2回 – ホイヤー844と現在のモデル

新作「アクアレーサー プロフェッショナル300」 のスタイルは、現行モデルのデザインをほぼ踏襲している。このモデルの外観は、初期の「アクアレーサー」 モデル、最後の「タグ・ホイヤー2000」 、そしてホイヤー Ref. 844の影響も受けている。

タグ・ホイヤーは、1970年代後半から80年代前半にかけて、様々なタイプの「ホイヤー844」 を製造した。新登場の「アクアレーサー プロフェッショナル300」 と並べてみると、ホイヤー844とその現代の子孫との間には、明らかなつながりがあることが分かる。その上、ホイヤー844に触発されたタグ・ホイヤーは、「アクアレーサー プロフェッショナル300 トリビュート トゥ Ref.844」 と名付けた限定モデルまで製作している。

 

このトリビュートモデルは、新型アクアレーサーの“通常”バージョンとは異なり、時針と分針にはオールドラジウム スーパールミノバ®を塗布している。ブラックオパリンのダイヤルは滑らかで、通常の43mmバージョンのアクアレーサーに見られるようなリブは入っていない。また、オリジナルモデルの特徴だったレッドの24時間計がインデックスに隣接して配されている。この24時間計は元々、24時間単位で報告するプロダイバーの換算を容易にする目的で開発されたものだ。

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フィット感へのトリビュート

「アクアレーサー プロフェッショナル300 トリビュート トゥ Ref.844」 のケースは、ハイエンドのグレード5チタン製だ。この素材は、航空宇宙産業や医療用途で広く利用されており、多くの特性を持っている。スティールやゴールドに比べて加工に手間がかかり、作業も複雑だが、非常に頑強で、軽く、腐食しにくい上に、低アレルギー性だ。これ以外にも、グレード5チタンには、研磨に適し、スティールと同様のエレガントで光沢のある外観を実現することができるにもかかわらず、質量が著しく低いというメリットもある。

このトリビュートモデルをじっくり見てみると、ブランドのデザイン部門がどんな些細なことにも努力を惜しんでいないことがよく分かる。例えば、オリジナルのRef. 844にあったブラックのパンチングラバーストラップが復活したが、今回はストラップの開口部が8角形になっており、現在のアクアレーサーが採用している6角形、8角形、12角形のフォルムがここにも登場している。

「アクアレーサー プロフェッショナル300 トリビュート トゥ Ref.844」 は、844本の限定生産。

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タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 - 43mm

新作の「アクアレーサー プロフェッショナル300」 43mmモデルは、一見しただけでは先代モデルとほとんど変わらないと思うかもしれない。ある程度、意図的にそうしているところがある。大成功を収めているモデルをアップデートするのには、それをさらに進化させ、洗練するという目的がある。確かに、今までやってきたことを覆すようなアプローチを採用したり、斬新なスタイルを追求したりするのは無謀だろう。実際、成功していたモデルをリニューアルした際に、それまで変わることのなかった要素を下手に変えてしまったため、かつての魅力を失ってしまったウォッチブランドはいくつもある。

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現在、43mmモデルには4つのバリエーション(トリビュート トゥ Ref.844を除く) があり、それぞれに独自の配色が採用され、ダイヤルの色と最適にマッチするベゼルの色が組み合わされている。ブルーのダイヤルにはブルーのベゼル、ブラックのダイヤルにはブラックのベゼル、シルバーのダイヤルにはシルバーのベゼルといったように。この3モデルのケースはスティール製だ。4つ目のバリエーションは、グレード2チタン製ケースを採用し、グリーンのダイヤルに同じグリーンのベゼルを組み合わせている。

4種類のダイヤルにはそれぞれ、従来のモデルに見られたダイヤルリブが採用されているが、刻印されたラインの間隔が異なるため、ダイヤルの文字を入れるスペースが広くなり、極めて洗練された表情をさりげなく演出している。

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タグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 - 36mm

36mmモデルには、ブラックダイヤルにブラックベゼル、シルバーダイヤルにブラックベゼル、ブルーダイヤルにブルーベゼルの3つのバリエーションがある。後者のモデルには、他のモデルに採用されているスーパールミノバ®を塗布した八角形のインデックスの代わりに、8個のダイヤモンドをセットしたインデックスのタイプもある。43mmモデルに見られるリブは、穏やかな波のようなモチーフに進化した。この後者のディテールは、先に述べた直線的なダイヤルのリブよりも幾分ソフトな印象を与える。

変えない方がいいものもある。キャリバー5は、定評のある自動巻きムーブメントだ。その構造は世界中の時計メーカーに知られており、定期点検や修理も簡単に手頃な価格で行える。

この最先端のムーブメントは、28,800vph(4Hz) の振動数で正確に時を刻む。完全に巻き上げられた状態から38時間のパワーリザーブも確保されている。

ルーペ・タイム

新作アクアレーサーでは、時計を構成するムーブメント以外の“外装部品”全てに重点が置かれている。次回は、新しい「アクアレーサー プロフェッショナル300」 について、ギ・ボーヴと彼のチームがこの人気ダイバーズモデルに施したそれぞれの変更点を見ていくことにしよう。

アンガス・デイヴィス Escapement Magazine 共同創設者