時計 ストップウォッチの構造

その瞬間を止めること

4分

現在、時間を測るのに使われるのはほとんどの場合様々なデジタルツールです。そうなった経緯はどのようなものからでしょうか? デジタルなタイムキーピングとはどのようなものでしょうか? どのようにしてストップウォッチは時間を、正確にストップするのでしょうか?

すべての始まりは17世紀末、イギリス人時計学者サミュエル・ワトソンによって開発された「Physician’s Pulse Watch (内科医用心拍時計)」でした。基礎的な装置でしたが、時代を超えて繰り返し改良されました。中でも1816年に発明されたルイ・モネの1/60秒カウンター「コンター・ドゥ・ティエルス」と、その数年後に発明されたニコラ・マチュー・リューセック のインクで時間を記録するクロノグラフは有名です。

ちょうど100年後の1916年になって、ホイヤーは、1/100秒の精度で計測することのできる世界初のストップウォッチで特許を取得しました。ホイヤーのマイクログラフは、あっと驚くような発明で、その他すべての「精密な」ストップウォッチとは根本から異なる物でした。精度を完全に新たなレベルへと引き上げることで、ホイヤーのストップウォッチは、1960年代末の電子計測の出現まで、クラス最高の装置として君臨していました。

ストップウォッチが長年をかけて変化する一方で、その基本的なメカニズムは確立されていました。ストップウォッチの全てを理解するため、読み進めてみてください。

ストップウォッチの基本

現在よく知られたストップウォッチは手で持つタイムピースで、「スタート」と「ストップ」までの経過時間の計測を目的として設計されています。メカニカルであれ、アナログであれ、ストップウォッチには、リングに上がる前のファイターのようなメインスプリングが備わっており、使用する前に巻かなくてはなりません。

巻き上げるとメインスプリングは準備完了、すぐに計時のメカニズムを開始させます。現在の平均的なストップウォッチには7つの石または石の軸受けがあり、バランスホイールは1秒間に5回または5ヘルツの頻度で振動します。ヴィンテージのホイヤーまたはタグ・ホイヤーのマイクログラフのような、洗練された計時装置のバランスホイールは、1秒間に100回振動し、装置の精度を保証します。

スタートボタンは「リューズ」とも呼ばれ、時間の記録の開始とストップを担います。一度ボタンが押されると、少なくとも3つの一連のホイール(そのタイムピースがどれだけ精密かによってもっと多い場合があります) が、1秒、60秒、60分など、各自様々な回転時間で動き始めます。ホイールは作用し合い、開始から経過した時間を記録します。

優れたストップウォッチには、気温による影響を受けない非磁性合金で作られた速度調節パーツがあります。他の多くの繊細な装置と同様に、ストップウォッチは、ダストや薬品蒸気(特に香水) から常に遠ざける必要があります。伝統的な腕時計とは異なり、ストップウォッチのムーブメントは、ヒンジの付いたメタル製ケースバックから簡単にアクセスすることができます。

スタート

使用していないときにストップウォッチのケースバック(そしてダストカバー) を開けてみてください。静止したバランスホイールが見えるはず。リューズを押して計時サイクルをスタートすると、巻き真が押され、回転するスターホイールとホイップレバーがゆっくりと動き出し、センターホイールが回り出します。

ストップ

計時サイクルをストップするためには再度リューズをプッシュしましょう。エレガントなメカニズム、つまり、巻き真、プッシュピース、スターホイールそして信頼性の高いホイップレバーによって、針が止まります。連鎖反応がバランスホイールとセンターホイールを完全に停止させ、時間が止まります。

リセット

ストップウォッチをゼロに戻すには、もう一度リューズまたはサイドボタン(モデルによって異なります) を押します。ボタンの巻き真が2つ目のバネを搭載したプッシュピースを押し下げることで、ハンマーが旋回します。旋回する間、可愛らしいハート形のメタルピースをハンマーが打ち、ダンスフロアのようにくるくると回転させます。そのハートはノッチがハンマーに届いた時に止まり、2本の針をゼロへと戻します。

Go

今度、時間を止めたいと願う人がいたら、時間が許す限りバランスホイールやプッシュピースなどについて教えてあげてください。