ライフスタイル 探検家たちが独自のタイムゾーンを設定する北極と南極
5分
ステファニー・バーミリオン ジャーナリスト&フォトグラファー
ステファニーは、冒険旅行の魅力を伝えるジャーナリスト兼フォトグラファー。地球の果てや海の底への長い旅路は、彼女に極めて独特な時間の捉え方を教えました。今回The Edge Magazineが興味をそそられたのは、時には太陽が沈まないこともあるという極地での時間の概念でした。
私たちの生活は地球上のタイムゾーンを中心に展開しています。このタイムゾーンという概念は、1800年代後半の鉄道黎明期に、ビジネスの合理化を図るために、数学者とエンジニアが考案したもので、彼らの提案は、太陽の位置に基づいて地球をほぼ15度の幅を持つ24の細長い部分に分割するというものでした。
計時装置が発明されると、世界中で時間が体系化されましたが、世界標準時である協定世界時 (UTC) が意味を持たない場所が2か所あります。それが北極と南極です。
ステファニー・バーミリオン
タイムゾーンが存在しない極地
タイムゾーンは、北極と南極で収束する経線に基づいています。これは、両極地にはすべてのタイムゾーンが含まれているか、タイムゾーンが全くないかのいずれかであることを意味しています。極地では、世界の大半の地域とは異なる日照を経験するという事実 (この点については後ほど詳しく説明します) が、時間の混乱にさらに拍車をかけます。
決まった時間が存在しない場所という概念に戸惑いを覚えるかもしれませんが、同時にこれは非常に解放感を与えるものでもあります。このため極地探検家たちは、こうした地球の果てに足を踏み入れる際には、独自のタイムゾーンを定め、それに従って行動します。私はまだ北極も南極も横断したことはありませんが、時間の束縛から解放されることで、地球上で最もシュールな決められた時間外の驚異の光景をいくつも見つけ、報告することができたのです。
タイムゾーンを気にせず冒険に没頭
多くの旅行日程は日中に合わせて組まれていますが、オーロラに早くから夢中になったおかげで、私は、目的地の夜の時間帯に実は多くの魔法にかけられたかのようなことが起こっていることを実感することができました。最近では、それが仕事になっています。
アマゾンを例にとってみましょう。昼間のアマゾンの旅では、ボートに乗って色とりどりのオウムの群れを見たり、高い位置に張られたキャノピーウォークを渡って樹上での生活を観察したりと、この地域の生物群系の驚異を堪能することができます。しかし、熱帯雨林が本当に活気づくのは夜なのです。これは、私がエクアドルアマゾンで実際に体験したことです。私が漆黒の夜に包まれた森を探検して過ごした1週間は、夕暮れ時に鳴き出すカエルやセミの大合唱を聞いたり、月明かりに照らされたカヌーのシートに座って、明るく光るワニの目やツチボタルを見かけたり、オオアリクイやタランチュラ、ヘビ(そして、私には見えなくても、私を見つけた無数の他の生き物) がたくさんいるジャングルをトレッキングしたりというアクション満載の時間が繰り返されました。
活気あふれるアマゾン同様、海洋生物も人間の時間の概念に従うことはありません。それを如実に表しているのが、日周鉛直移動が観察できるダイビングです。浜辺に打ち上げられた漂流物や貝殻を拾う人たちには夕日が「そろそろ寝る時間だ」と告げるものですが、大海原では、このオレンジ色の沈みゆく球体が、何十億もの海洋生物たちが夜ごと移動を始める合図になります。こうした動物プランクトン、魚、エビ、クラゲなどは、海の薄暗い有光層から海面まで上昇し、そこで餌を食べて夜明け前に再び下降します。この毎晩の移動パターンは、オリンピック選手の2倍のスピードで10kmのレースを走るのに相当し、ブラックライトで照らされたスキューバダイビング旅行のためにタイムゾーンを無視し、夜更かしする意欲のあるダイバーにしか見ることができません。こうしたダイビング旅行は、フロリダからクック諸島まで、世界中で楽しむことができます。
ステファニー・バーミリオン
極端な日差しの後、強烈な暗闇に
北極と南極での時間の把握を不可解に感じさせるものは、タイムゾーンの収束だけではありません。同じくらい奇妙なのが、極地では太陽が昇るのも沈むのも1年に1回だけという事実です。これは、地軸が傾いていることによる現象です。
北極では、太陽が地平線上に昇るのは3月の春分です。そしてそのままこの位置に留まることで “白夜” として知られる24時間明るい状態が作り出され、それが9月の秋分まで続きます。南極はこれとは真逆になり、この時間帯に太陽が昇ることはありません。この地域では “極夜” と呼ばれる現象が起きます。そして9月になると、北極が果てしない闇へと移り変わる一方で、南極では昼夜を問わず日が照り続けます。
極地では最も劇的な日照の変化が起こりますが、その影響は北極地域全体に広がります。ノルウェー北部やアラスカのような地域では、人々は長い間、このような極端な昼と夜の時間と共存してきました。近年、冒険旅行者たちは、夜になっても暗くならないままであること、あるいは夜が明けずに薄暗いままであることの不思議を満喫できるようになっています。
逆に、漆黒の極夜は不気味に聞こえるかもしれませんが、オーロラを見る絶好の機会でもあります。2019年、私は12月中旬にアイスランドを訪れ、オーロラを追いかけていました。天候が様々の変化球を投げかけ不意打ちを繰り出してくる中、私は一度だけでなく、二度も吹雪に見舞われ、そのうちの1つは国をほぼ閉鎖状態に追い込むほどのものでした。しかし、それと同じくらいに私を驚かしたのは、日照時間の短さでした。真昼だというのに、太陽が昇り水平線にわずかに触れたかと思うと、すぐにまた水平線の下に沈んでしまうのです。
夜が長いということは、オーロラを観測できる時間も長いということです。だからこそ、私も、増え続けるオーロラハンターたちも、太陽が出ている時間がわずかであっても、旅に出るのです。さらに極端なのが、世界最北の有人地であるノルウェーのスヴァールバル諸島で、冬はひたすら暗闇が続き、昼食中にオーロラが見えるほどです。
ステファニー・バーミリオン
タイムゾーンを気にせず冒険が楽しめる時計
トワイライトゾーンでの冒険を何十回と経験して学んだことですが、暗闇に包まれた世界を探検するには、それに適した装備が必要です。そこで活躍するのがタグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300。自動巻キャリバー5を搭載したこのどんな冒険にも自信をもって立ち向かっていけるスポーツ&ダイバーズウォッチは、スーパールミノバ加工を施した大型針と、暗闇でも読み取りやすい視認性の高いダイヤルが特徴で、ナイトハイキング中やオーロラを追いかけている間、時間を正確に把握するのを助けてくれます。また、セラミック製の逆回転防止ベゼルとダイビングスケールを備えたタグ・ホイヤー アクアレーサー プロフェッショナル300 GMTは、ウミガメや色とりどりの魚たちと過ごす日中のダイビングであろうと、神々しいまでにきらめく日周鉛直移動が見られるナイトダイビングであろうと、あらゆるスキューバダイビングに最適です。
ステファニー・バーミリオン ジャーナリスト&フォトグラファー
ステファニーは、冒険旅行の魅力を伝えるジャーナリスト兼フォトグラファー。地球の果てや海の底への長い旅路は、彼女に極めて独特な時間の捉え方を教えました。今回The Edge Magazineが興味をそそられたのは、時には太陽が沈まないこともあるという極地での時間の概念でした。