時計 紫の中で生まれて:タグ・ホイヤー モナコ史上、最も高貴な色に秘められたものとは

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紫(パープル) という色にまつわる壮麗な起源からタグ・ホイヤーの最も高貴なタイムピースまでの時を巡る旅にお連れします。

タグ・ホイヤー モナコ キャリバー ホイヤー02 パープルダイヤル リミテッドエディション(CBL2118.FC6518)

紫という色には何かがあります。何世紀も昔、この色はエキゾチックで珍しい色とみなされていました。時を経ても、その魅力が失われることはありません。ビザンティン帝国の分娩室から文化運動、そしてタグ・ホイヤー モナコの新作を彩る色まで、紫は長い道のりを歩んできました。数週間前、イギリスは女王のプラチナ・ジュビリーを祝いました。その祝祭の中で、ひときわ際立った存在感を放っていたのが「紫色」でした。ジュビリーのエンブレムは紫でした。万国旗も紫でした。赤いロンドンバスも紫色にラッピングされていました。歴史書をめくると、紫は何世代にもわたって王族や、時には反逆者たちの間で選ばれてきた色であることが分かります。そこで今回は、紫の壮麗な起源からタグ・ホイヤーの最も高貴なタイムピースの時を巡る旅をご紹介したいと思います。

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紫の中で生まれて

ローマ皇帝による治世の時代にあなたが一般市民で、紫色の服を着たら、死刑になる可能性がありました。この色は、ローマ帝国の王族にのみ許された色だったからです。ペルシャ帝国の王・キュロス2世は、紫色のチュニックを王服として取り入れていました。ビザンティン帝国もこの色に特別な親近感を抱いていました。この帝国の支配者は流れるような紫のローブをまとい、紫のインクを使って詔勅に署名していました。ビザンティン帝国の女帝たちは「紫の間」で子供を産み、やがて英語で「born in the purple(紫の中で生まれて) 」というフレーズが「帝王の家系に生まれる」という意味を持つようになります。「紫の間」は、高貴な家柄に生まれた王族と、その地位を奪ったり獲得したりしただけの貴族とを区別するものだったのです。

巻貝と帝王の関係

紀元前1200年頃、現在のレバノンがある古代フェニキアの都市ティルスでのこと。ここは、貝紫染め取引の中心地でした。フェニキア人が生んだティリアンパープルという染料は、作るのが難しく、非常に希少価値の高いものでした。これを作るには、特定の種の巻貝と、決まった量の日光と、豊富な労働力が必要でした。染色職人は基本的に、巻貝を砕き、取り出した紫色の分泌液に糸や布を浸し、厳格に決められた時間、太陽光に当て発色させました。その結果、鮮やかで長持ちする紫色が生まれたのです。

その染料で作った服の値札には、度肝を抜かれるほどに高い金額が書かれていました。このことからも、紫色の服が富裕層や権力者のものであったことは明らかです。しかし、15世紀にビザンティン帝国が滅亡すると、紫色の人気は下降していきます。この傾向は、1850年代に合成染料が開発されて再び紫色が流行するようになるまで続きました。

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「紫色の布片」転じて「幸運な時期」

紫ーパープルは、20世紀に入ってから本格的に復活します。芸術界では、オーストリアの画家グスタフ・クリムトがこの色を好み、遊び心のあるスミレ色や華やかな紫色で作品を埋め尽くしました。上流社会に目を戻すと、イギリス国王ジョージ6世が公式肖像画で紫色を身に着けています。また、1953年のエリザベス2世の戴冠式では、ほぼすべての場面でこの色がモチーフとして使用されました。招待状から挙式まで、紫が近代エリザベス朝を象徴する色となったのです。紫はその威厳を保つ一方で、社会変革の領域にも浸透していきます。20世紀初頭のサフラジェットたち(参政権を求めて立ち上がったイギリスの女性たち) は、紫色をシンボルカラーのひとつとして使用していました。60年代にはカウンターカルチャー・ムーブメントで採用されます。さらに70年代にはフェミニストたちがこの色を掲げます。有名なミュージシャンが曲のタイトルに使ったり、バンド名にパープルを付けたりもしました。20世紀末になると、政治家や財界人がスミレ色や紫のネクタイをするようになります。彼らにとって紫は、赤いネクタイの自信と青いネクタイの信頼感を併せ持つ色だったのです。紫はここまで進化してきました。

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手首にロイヤルパープルを

そこで今回私たちは、帝王のシンボルとなってきた「紫」の高貴な変遷と「タグ・ホイヤー モナコ」の豊かな歴史とをマッチングさせることにしたのです。この伝説的なタイムピースは、ブラック、ブルー、レッド、グリーン、グレーと、これまで様々な色で彩られてきました。そしていよいよ「タグ・ホイヤー モナコ」にパープルの王冠が授けられます。洗練されたパープルのダイヤルにスモーク加工を施した新作「タグ・ホイヤー モナコ」は、手首をロイヤルな雰囲気に演出します。ダイヤルはブラックオパリンのサブカウンターに付き添われ、サテン仕上げとポリッシュ仕上げのステンレススティール製ケースに収められています。ケースバックにはシリアル番号を刻印。振動子やコラムホイールも紫に染められるなど、小粋なディテールにも注目です。ブラックのレザーストラップには、紫のライニングが施され、卓越したタイムピースにふさわしい最高の伴侶となっています。そんな高貴さ漂うタイムピースの詳細は、こちらをご覧ください。