時計 タグ・ホイヤーのウォッチラバー "ユニバーシティ":面白いほどよく分かる腕時計百科事典
「そもそも、ベゼルって何?」
これまで時計について、無知をさらけ出すことを恐れてついつい聞きそびれてしまっていたことをここで解決しましょう。友だちがトゥールビヨンを比較する話をしている時に、彼が話していることが、フランスの新しいチーズのことなのか、それともV8エンジンの話なのかなどと、ぼーっと悩む必要もなくなります。今こそ、私たちが用意した時計製造に関するFAQや専門用語の数々を集めたこの百科事典で時計用語に精通する時です。ここには、全くの初心者にも目の肥えたコレクターにもが役立つ時計用語が網羅されています。「学び続ける人はいつまでも若い」と言われるように、腹筋に効く運動器具はちょっと横に置いて、代わりに頭脳を鍛えていくことにしましょう。このシリーズで勉強すれば、すぐに、毎日の会話の中で、受け石(ジュエル) にはどんな石を選べばいいのか、あるいはベゼルとは何なのか、などと聞かれて、当意即妙の答えができるようになるはず。そこには、時計用語を母国語のように流暢に操るあなたがいます。時計の話をする際に必要となる用語を網羅したフレーズブックをぜひご活用ください。
時計解剖学 初級編
第1章では、時計解剖学の基本を見ていくことにします。時計の外観やエディションの変遷を説明する際によく耳にする用語を掘り下げます。こうした用語は、落ち着きのあるイタリア仕立てのスーツの袖口の下からヴィンテージ モナコをのぞかせているような友人とバーで語り合うときのために覚えておきたいものでもあります。
アパーチャー:曜日や日付の表示に使用される、ダイヤル上の小さな開口部(「日付表示窓」とも呼ばれます) 。”ジャンピングアワー” ウォッチでは、針の代わりに時間を数字で表示するために使用されます。
ベゼル:時計のダイヤルの周りにあるメタル(場合によっては、ダイヤルとは異なる種類のメタル) 製のリングで、通常、ダイヤルを覆うガラスまたはクリスタルを保持しています。多くの時計が、時間を計測するための目盛りが付いた回転式ベゼルを備えており、こうしたベゼルを回転させて経過時間を計測したり、複雑機構の一部として第2時間帯の時刻を表示したりすることができるようになっています。回転式ベゼルは、時計回り(一方向) または反時計回りと時計回りの両方(両方向) に回転し、計算の助けになります。
タグ・ホイヤー オータヴィア クロノメーター フライバックのベゼル
ブレスレット:リンクを連ねて構成される、メタル製のウォッチバンドの別称。
ケース:時計の内部部品やムーブメントを収納するメタル製の筐体。
複雑機構(コンプリケーション) :時計のムーブメントの中で、時間を刻む以外の機能を実行する仕組み。主な複雑機構には、カレンダー、クロノグラフ、ムーンフェイズ表示、ミニッツリピーター、アラームなどがあります。複雑機構を実現するには多くの部品が必要となるため、製造するのにコストも手間もかかります。
タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフのリューズとプッシュボタン
リューズ:非自動巻時計のゼンマイを巻き上げたり、時刻の調整で針を動かしたり、カレンダー付き時計の日付表示を修正したりするために回す、ケースサイドにあるつまみ。防水時計では、リューズがケースにねじ込まれていることが一般的です。
クリスタル:ダイヤルを覆う透明な保護カバーで、サファイアクリスタル、アクリル、ガラスのいずれかが使用されています。サファイアクリスタルは、アクリルやガラスのクリスタルに比べて傷がつきにくいという特徴があります。
ダイヤル:一般的に時、分、秒を表示し、さらに日付、クロノグラフ、第2時間帯などの他の機能を表示する時計の顔。
フランジ:ダイヤルとベゼル/クリスタルの間にあるメタル製のリング。
針:時計には一般的に、秒、分、時間を示す3本の針があります。その形状には、ペア、ブレゲ、バトン、アロー、スケルトン、ルミナス、アルファ、ドーフィンなど様々なものがあります。
インデックス:時計のダイヤル上で、数字の代わりに時間を表すために使用されるマーク。
リンク:時計のブレスレットを構成する個々のメタルピース。
ラグ:ケースの上下にある、ストラップを取り付けるためのメタル製の突起部分。ラグの両端にはバネ棒があり、これがストラップを固定します。
タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフのムーブメントの組立作業
ムーブメント:腕時計は、キャリバーとも呼ばれるムーブメントによって駆動されます。
一般的な時計のムーブメントの種類としては以下が挙げられます。
- オートマティック – (自動巻) ムーブメントが機械式の時計。腕の動きによる振動で回転錘(ローター) が回転し、ゼンマイを巻き上げます。そのエネルギーが機械的なエネルギーに変換され、時計のムーブメントを動かします。こうした時計は、パワーリザーブが切れても、振ったり、手動で巻き上げたりすることで時計を動かし続けることができます。
- マニュアル – (手巻) 手で巻き上げる機械式ムーブメント。
- クォーツ – クォーツ式アナログ時計やソリッドステートデジタル時計に使用される天然または合成の二酸化ケイ素の結晶で、電池や太陽光で作動すると、薄い水晶片が非常に高い周波数(1秒間に32,768回) で正確に振動します。
- デジタル – LCDまたはLEDを使用して連続的な計時値を表示する時計。
- アナログ/デジタル – デジタル表示と従来のアナログ時計の針の両方を備えています。
プッシュボタン:クロノグラフ腕時計のボタンで、クロノグラフ機構をスタート、ストップ、リセットするためのものです。クロノグラフの大半には、機構のスタートとストップを行うプッシュボタンと、リセットを行うプッシュボタンの2つプッシャーが装備されています。
SLN:スーパールミノバ®としても知られる光輝性塗料。時計の数字やインデックス、針に塗布し発光性をもたせることで夜間や水中など暗い場所でも時刻が読み取れるようにするものです。初期の時計ではラジウムが使われていましたが、現代の時計では非放射性の燐光性物質が使われています。
タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー フライバック クロノグラフのインデックスに塗布されたSLN
次回は、今回学んだことを復習しながら、表面的なことだけでなく、ムーブメントの内側と外側に関することにも知識を広げていきましょう。深い仲になるための準備が整えて、時計との熱い関係を次のレベルに進めましょう。