スポーツ あなたのグランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリック1日目のオールアクセスパス
5分
© ACM / Olivier Caenen
2022年5月13日、モナコ
涼しげなライトブルーの地中海に、太陽が降り注いでいます。気温は23度ですが、30度くらいになっているように感じます。風は静まり返り、物憂げです。ゴムの焦げたような臭いが漂っています。静寂の合間に聞こえてくるのは、レーシングカーのエンジンの轟音。あまりにも大きな音なので、会話を中断し、その音が聞こえなくなるのを辛抱強く待っている人たちもいます。その様子は、まるで決してレーシングカーが彼らの会話の邪魔をしているのではなく、むしろ自分たちの方がレーシングカーの走行を妨げているのだと言わんばかりです。これこそ、モナコの本当の魅力です。レーシングカーが全速力で走る耳をつんざくような騒音に会話が邪魔されようと、全く気にしないように見えます。つまり、モータースポーツを愛し、歴史を重んじる場所だからこそ、その魂と道路をグランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリックのようなイベントに貸すことができるのです。
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© ACM / Olivier Caenen
雰囲気
モナコは、パステルカラーのバロック建築が紺碧の地中海に向かって徐々に雪崩が滑っていくような美しい姿をしています。その魅力に包まれながら走行すると、世界はテクニカラーな夢の世界へと変わります。まるで、目の上にSNSのフィルターがかかったかのような感覚です。今日は、モナコのありふれた1日というわけにはいきません(まぁ、モナコにありふれた日々というものがあるとしての話ですが) 。そう、今日は、グランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリックの初日なのです。また、例年通り、この街は、180台以上の素晴らしいヴィンテージレーシングカーを歓迎するホスト役を務めます。まるで、レーシングファンとレーシングカーのロイヤルウェディングに立ち会うかのようなワクワクしたムードが漂います。街灯にはレトロなレーシングポスターも吊るされています。狭い、風の強い道には「他のレーシングイベントと同じくらいエキサイティングなグランプリ」について噂話をする地元の人たちで溢れています。そんな想いは、このスピードの聖地へ巡礼に訪れたファンたちの、太陽の光を浴びた顔にも表れています。
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© TAG Heuer
至るところでレース
これ以上良くならないと思っていたら、良くなった。ホテルのバルコニーから外を見ると、1975年型エンサインが有名なピシーヌ・シケインに挑んでいるのが見えます。展望橋から見下ろすと、ラスカスの手前で2台のティレルが絡んでいるのが見えます。カフェから一歩踏み出せば、ロータスが轟音が、目にもとまらぬ速さで目の前を通り過ぎていきます。パドックに足を踏み入れると、そこには何百台ものレアなレーシングカーと、忙しく働く何人ものメカニック、そして多くのファンで溢れています。身を乗り出して、一台一台の細部までじっくりと見ることができます。ロゴの変遷、シャシーの変遷、エンジン音の変遷など、時代を追って自分の目で確かめることができるのです。そこは単なるパドックではなく、様々な年代への入り口なのです。
そして、そこにあるのも単なる自動車だけではありません。通りすがりの人の腕元を見ると、珍しいヴィンテージウォッチが目につきます。(そう、ホイヤー愛用者が実に大勢いるんです!) 容赦のない、魂を揺さぶる、忘れられないシーンがあります。観客は太陽と轟音と激しさに酔いしれます。
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© TAG Heuer
知られざるヒーローたち
午後5時45分です。蒸し暑い1日ですが、安全用のオレンジ色の重厚なジャンプスーツに身を包み、旗を振ってドライバーを見守るマーシャルの一団はを見かけることがあります。医者や医療関係者も、何も問題が起こらないことを願いながら、辛抱強くレースを見守る姿が目に浮かびます。メカニックたちは、ドライバーたちが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、そしてファンも特別なものが見られるよう、それぞれのレーシングカーをチューニングし、微調整し、修理に余念がありません。つまり、レーシングカーやドライバーだけでなく、こうした人たちも、グランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリックのヒーローなのです。このレースが計画通りに進むのも彼らがいてくれるからこそです。彼らは、ドライバーのため、ファンのため、メディアのため、そして互いのために気を配っているのです。どのグランプリも成功したなら、それは彼らのおかげなのです。
シャンパンとシケイン
この練習を締めくくったのが、タグ・ホイヤーの素晴らしいフレンズとゲストのために開催した特別なイベントでした。オテル・エルミタージュのゴージャスな庭園で、招待客はシャンパンを楽しみながら、サーキットを走り回るシリーズEレーシングカーに囲まれ、この夜の気分を盛り上げました。このイベントの目玉は、完璧なレースウィークエンドを演出する、新作「タグ・ホイヤー モナコ ガルフ スペシャルエディション」でした。
明日まで
太陽が沈み、地中海はヨットやボートで照らされています。気温は17℃です。魅惑の一日を終えた後の安堵のため息を吹き飛ばすかのように、風も涼しさを運んできます。ゴムの焦げたような臭いは依然として漂っています。そして、ホテルの部屋からは、メカニックたちがレーシングカーのエンジンをチューニングし、微調整し、修理する音が聞こえてきます。これこそ、モナコの本当の魅力です。あなたもここに来て、是非それを自分の目で確かめてみてください。明日の The Edge でまたお会いしましょう。予選と決勝のライブ中継もお見逃しなく。