ライフスタイル アドレナリンクラッシュ

鳴り響くエンジン音。グラベル上できしむタイヤ。スピードへの渇望。こうしたもの全てを愛し、その情熱をモーターレーシングのキャリアにつなげるには、特別な人間になる必要があります。スタート直前にレッドライトが消える緊張の瞬間や速度計が「正気とは思えない時速」を表示している時にこそ、胸が高鳴るレーシングドライバーが、他の人々とは全く違う人種と言われる理由もここにあります。彼らは、全てのターン、全ての直線コース、全てのラップタイムに100％集中しなければなりません。心も本能をも自分の意のままにしなければならないのです。そうして初めて、マシンを思い通りに乗りこなすことができ、怖いようで爽快、無謀なようで洗練された走りが可能になります。

モーターレーシングの複雑な魅力が「アドレナリン」という身近なホルモンで表現されることがよくあります。レーシングドライバーは「アドレナリンジャンキー」と呼ばれ、彼らの経験やレース運びは、しばしば「アドレナリンラッシュ」と形容されます。では、モーターレーシングにおいて、アドレナリンがどれだけ大きな役割を果たしているのか、見ていくことにしましょう。

さて、アドレナリンとは何か、すでにご存知の方も多いかもしれませんが、この言葉になじみのない方のために簡単におさらいをしておきましょう。アドレナリンは、エピネフリンとも呼ばれ、内臓機能を調節するホルモンです。通常は副腎と延髄にある少数の神経細胞で作られます。このホルモンは、戦うか逃げるか反応に重要な役割を果たします。「戦うか逃げるか反応」とは、ストレスを生むような出来事、例えば、速度計の表示が時速160キロを超えた瞬間、などに対する生理的な反応のことです。あなたはそこでブレーキを踏みますか。それともそのまま走り続けますか。

あのドキドキ感。血管にドクドクと血が流れる音が聞こえ、瞳孔が開き、視界が鋭くなったように感じ、痛みの閾値が上がるのを感じたら、その時あなたは、「アドレナリンラッシュ」の状態に入っています。ほとんどの人が経験したことがあるのではないでしょうか。特に、ハンドルを握っている時に。アドレナリンが放出され、逃げるか戦うかのどちらかに身体の準備が整います。では、猛スピードでコースを駆け抜けるレーシングドライバーには、これがどのような影響を及ぼすのでしょうか。

ただし、ストレスを感じるような状況に常にさらされていると、アドレナリンラッシュを感じにくくなると言われます。これは、レーシングドライバーにも当てはまります。経験を積み、技術を磨くことで、彼らは自分のレースをどう組み立て、コントロールすればいいかが分かってきます。確かにハイリスクなスポーツであることに変わりはないのですが、何度も経験していると、さほど危険ではないように感じられるようになっていくのです。ドライバーはレース中にアドレナリンの高揚があったことを口にしますが、それはアドレナリンラッシュとは違います。ドライバーは、ノウハウや理性によって、アドレナリンが出てきたときの反応をどうコントロールすればいいかが分かってくるのです。

レーシングドライバーが優位に立つのに、アドレナリンがかなり大きな役割を果たします。経験やスキルと結びついたこのホルモンが、モーターレーシングの限界を超えようとする自信をドライバーに与えます。実際、偉大さと無謀さとの間の微妙な境界線を見つけるよう、アドレナリンが彼らを鼓舞することになるのです。レーシングダイバーは、恐怖とアドレナリンを受け入れています。これこそが、名ドライバーとそれ以外のスピード狂との決定的な違いであり、アドレナリンの高揚とアドレナリンラッシュとのギャップを判断する能力でもあります。

アドレナリンを時計に例えるとしたら、この タグ・ホイヤーとポルシェが共同で開発した「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ ポルシェスペシャルエディション」こそがまさにそれです。モーターレーシングへの情熱を共有する両ブランドの究極のシンボル。手首にアドレナリンを放出するこの限定エディションは、フィンランドのポルシェ ドライビングエリア レヴィで発表されました。これを記念して、両パートナーは、ブランドアンバサダーであり、ハリウッドスターでレーシングドライバーでもあるパトリック・デンプシーとタッグを組みました。デンプシーがこのウォッチを着用し、ポルシェに乗り込み、氷雪の中を爽快に走るテストドライブを行ったのです。タグ・ホイヤーとポルシェの歴史に新たな1ページが刻まれたことを祝うのにぴったりの方法でした。