時計 タグ・ホイヤー カレラについて知っておくべきこと
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タグ・ホイヤー カレラのストーリーの始まりは、1962年にまで遡ります。より正確に言えば、ジャック・ホイヤーが、スポーツカー クラブ・オブ・アメリカが主催するレースのために、アメリカのフロリダ州セブリングにある名門サーキットにいたときです。ここでジャックは、有名なメキシコ人レーサー、リカルドとペドロのロドリゲス兄弟の両親と出会い、世界で最も危険なレースとして広く知られた悪名高き公道レース「カレラ・パナメリカーナ」の話を聞きます。ジャックにとって、この「カレラ」という名はまさに心に突き刺さるものでした。スペイン語で「レース」を意味するこの言葉は、どの言語で発音しても響きの良いものになるはずだと考えたからでした。そこでスイスに戻ると、ジャックは自らが開発した新しいクロノグラフに「カレラ」の名を付け、商標登録します。この時計は1963年に発表されました。以来、タグ・ホイヤー カレラは、イノベーションとレガシーの象徴であり続けています。
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1954年のパナメリカーナでのポルシェ 550 スパイダー
原点への回帰
2447のリファレンス番号が付された初代タグ・ホイヤー カレラ。コレクションの核となるDNAが息づくそのデザインは今も健在です。それは、ダイナミックなケースと独特のラグを備えた、機能的でピュアなデザインと高い視認性を特徴とする時計でした。現在でも、この初代2447モデルのレガシーは、新たなカレラにインスピレーションを与え続け、2023年には、人気の「パンダ」ダイヤル2447を参考にした限定エディションで、このコレクションの60周年を祝いました。視認性に優れたデザインとシグネチャーのラグを備えた39mmのタグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ最新モデルも、Ref. 2447のレガシーを受け継いでいます。
タグ・ホイヤー カレラのストーリーにおける最も重要な節目のひとつが、1969年に起こります。1965年から、スイスのマニュファクチュール企業連合の一員として、ホイヤー社は、世界初の自動巻クロノグラフ ムーブメントの開発を目的とした「プロジェクト99」に携わっていました。このプロジェクトの結果誕生し、ジャックが「キャリバー11」と名付けたムーブメントは、1969年3月、カレラを初めとする様々なモデルに搭載されています。こうした初期の自動巻クロノグラフの主な特徴は、ケースの左側に配された巻き上げ用のリューズで、スポーティなモデルにファンキーな魅力を添えていました。この卓越した機械式時計の伝統は、2015年に発表されたタグ・ホイヤーのマニュファクチュールで製造された現代的なコラムホイール ムーブメント「ホイヤー02」を代表に、今に受け継がれています。2023年、このモデルは自社製ムーブメントTH20-00へと進化し、約80時間の強力なパワーリザーブまで備えるようになっています。
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1963~1964年に発表されたホイヤー カレラ(Ref. 2447)
ドライバーのための時計
ホイヤーのデザイン史におけるもうひとつの重要なモデルが、1970年に発表された「1158 CHN」です。キャリバー11が搭載されたこのソリッドゴールドのクロノグラフは、モータースポーツのドライバーたちを連想させるモデルとしても有名です。1971年、ジャックはフェラーリのF1チームに計時機器を提供します。さらにジャックは、ニキ・ラウダやマリオ・アンドレッティといったチームドライバーたちに、ソリッドゴールドのクロノグラフを贈り、マニュファクチュールを訪れてこれを受け取る機会を作ったのです。こうした有名な愛用者のおかげで、タグ・ホイヤー カレラは、挑戦者の時計という確固とした地位を築きます。
昨年、タグ・ホイヤーは、その由緒あるヘリテージのゴールドの輝きに捧げるオマージュとして、3Nソリッドゴールド製のタグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ 39mmを発表しました。サテン仕上げゴールドのダイヤルとブラックのクロノグラフレジスターを備えたこのモデルは、有名なドライバーズウォッチのスピリットを見事に体現しています。
タグ・ホイヤー カレラのストーリーにおける次の重要な節目が、「1996 リエディション」として知られる時計が発表された1996年。これは、1985年以来初めてカタログに加えられたカレラ モデルで、1963年のオリジナルのレガシーへのオマージュとして同じ36mmサイズで制作されました。この時計はまた、あえてシンプルにしたデザインを新たな世代に提案し、タグ・ホイヤーが現代の中でこのカレラというモデルのヘリテージを称える時代の幕開けを記すものとなりました。
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ (Ref. CBS2216.BA0041)
新たな地平を切り拓く
現在、そのヘリテージは、39mmの「グラスボックス」モデルに最もよく表れています。このモデルは、はっきりとしたドーム型のサファイアクリスタルからその名が付けられ、あらゆる角度からの視認性を最大限確保しています。グラスボックスの下には従来のタキメータースケールを備えたスリムなベゼルがあります。39mmのケースサイズも重要なポイントで、そこにはヘリテージと現代的な感性が絶妙に融合しています。カレラ コレクションのアヴァンギャルドな側面を完璧に体現しているのが、タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × ポルシェ 963です。そのオープンワークダイヤルとスポーティなケースは、紛れもなくカレラ ファミリーの一員であることを示しています。
もちろん、タグ・ホイヤー カレラは最も有名なレーシング クロノグラフのひとつではありますが、このコレクションにはクロノグラフ以外にも注目すべき点があることを覚えておくことが重要です。このコレクションの時間と日付表示機能を持つモデルは、スポーティな側面を控えめにし、そのシグネチャーとなっている美学を輝かせることを可能にしています。より小さなケース径のオプションや、大胆なダイヤルカラー、マザー オブ パールやダイヤモンドのディテールといった印象的な要素を備えたタグ・ホイヤー カレラ デイトは、この伝説的なデザインが高い汎用性を誇るものであることをしっかりと思い起こさせてくれます。 このアイコニックなタイムピースを巡る伝説的なストーリーについての詳細は、これまでのタグ・ホイヤー カレラを網羅した書籍「TAG Heuer Carrera: The Race Never Stops」をお読み頂くとともに、タグ・ホイヤーのPodcast「A Matter of Time」をお聞きください。