時計 タグ・ホイヤー、飽くなき月への探求
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月は、人類の時代の初期から、最も重要な時間測定の基準のひとつとなってきました。複雑な機械式時計が発明される何千年も前から、月の満ち欠けという規則的で予測可能な周期は、時間の経過を知る手段として役立ってきました。そしてこれが、現在使用されている暦法の基礎となっているのです。月や天体に関する天文学もまた、天文台での精度コンクールという形で、時計の歴史において重要な役割を担い、ジュネーブやヌーシャテルの天文台では、クロノメーターの試験と認証が行われていました。月は、計時や科学にとって重要な役割を果たすだけでなく、再生や復活を連想させる強力なシンボルとして世界中で認識されています。
昇る月
月が計時にとっていかに重要なものであるかを考えれば、タグ・ホイヤーに月を使った計時の長い歴史があるのも当然と言えます。「クロノグラフムーブメントを製造していたバルジュー社は、クロノグラフ、トリプルカレンダー、ムーンフェイズを組み合わせたバルジュー88と呼ばれるムーブメントの製造を開始します。タグ・ホイヤーは、このムーブメントを使い、1940年代後半から1950年代初頭にかけて、さまざまなモデルを生み出してきました。タグ・ホイヤーではこのムーブメントをゴールドのケースに収めることが一般的でしたが、これに加えて、ベースムーブメントの上にムーンフェイズ表示用モジュールを載せた、3針のムーンフェイズウォッチも販売しました。このムーブメントは、1949年に発表したソルナールにも使われました。これは、ムーンフェイズとソルナール理論との関係性を探るウォッチなのです」。
月のパワーと引力
ソルナール理論は、月が自然に強力な影響を与えていると主張します。そして、月の位置は、猟師、漁師、農民などが、いつ、どこで狩りや漁、作物の収穫を行うべきかの指針として長く利用されてきました。太陽時間の24時間周期が私たちの日常を導く一方で、月時間のよりゆっくりとした周期も同様に重要です。1949年に発表されたタグ・ホイヤーの「ソルナール」は、この2つを組み合わせたもので、専用の月のサブダイヤルが月の満ち欠けを追跡する一方、タイドインジケーターも搭載していたことから、アウトドア生活を送る人にとって理想的なウォッチでした。この「ソルナール」は、長年にわたりタグ・ホイヤーの製品ラインアップの一角を占め続け、1975年には、大型ケースとデュアルリューズのデザインを採用した2代目モデルが登場しました。このソルナールのバージョンでは、インナーベゼルとアウターベゼルを使用して、着用者が潮の満ち引きを簡単に把握できるようにしました。これは、タグ・ホイヤーの時計製造に関する高いノウハウと特殊なツールウォッチへのコミットメントを示すもう1つの好例です。
発見の旅
1962年2月20日、タグ・ホイヤーの月への探求は、かつてないほどに遠くまで進みました。フレンドシップ7号ミッションの一環として、改良型ホイヤー 2915A ストップウォッチが、宇宙飛行士ジョン・グレンの宇宙服の袖に装着されたからです。12時間の経過時間を計測可能で、5分の1秒単位の精度を誇るこのストップウォッチは、スイス製時計として初めて地球を周回した栄誉に輝きました。この目覚ましい功績も、タグ・ホイヤーがアバンギャルドであることに絶えずコミットしてきたことのもう1つの好例です。
新月
今回タグ・ホイヤーは、月を使った計時に取り組んできたこうした伝統を継承し、タグ・ホイヤー カレラ アストロノマーの発表に至りました。このモデルは、現代の技術が叶える高精度と月の永遠の魅力を融合させ、ムーンフェイズを全く新しい形で表現しています。この39mm径のタイムピースは、新登場の自動巻ムーブメント、キャリバー7を搭載しています。このウォッチのムーンフェイズ表示は、従来とは異なるタイプのものです。通常のムーンフェイズ表示とは異なり、このウォッチは三日月から下弦の月までの月相を7種類のイラストで表示するのです。このグラフィック表示がより正確な月相の読み取りを可能にするだけでなく、月齢表示機能で補完することで、29.5日の月周期も正しく把握することができるようになっています。象徴的で科学的な月を称える重要なデザインは、ケースバックに施された天文台が刻印に凝縮されています。かつて天文台で行われていた精度コンクールにオマージュを捧げると共に、月が人の文化において特別な位置を占めていることをはっきりと示した刻印です。
タグ・ホイヤー カレラ アストロノマーには3種類のモデルがあります。1つ目は、シルバーのサンレイ加工サテン仕上げのモデル。ローズゴールドのアクセントを効かせ、エレガントな雰囲気をまとっています。2つ目は、ディープグレーのダイヤルにターコイズのハイライトを効かせたモデル。近未来的なトーンを演出しています。そして最後が、ステンレススティール製ブレスレットにシルバーダイヤルとブラックのムーンフェイズ表示を組み合わせたモデル。このタイムピースが持つミニマルな魅力を存分に引き出しています。
月への賛歌を奏でるタグ・ホイヤーのタイムピースは、月そのもののように多面的です。「ソルナール」のようなモデルや、宇宙探査における歴史的な重要性によって形作られた、精度と創意工夫の数十年にわたるストーリーを物語ります。タグ・ホイヤー カレラ アストロノマーは、この今も続く壮大な旅の中での誇り高き次なる一歩を象徴し、月という驚異の天体が持つ精密さとそれが湛える詩情の橋渡しをするモデルとなっています。