サヴォワールフェール スプリットセコンド クロノグラフの仕組みとは?

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時計メーカーが手がける複雑機構の中でも超難関のひとつがスプリットセコンド クロノグラフです。

元々は、複数のタイムを同時に計測するために考案されました。その仕組みをご紹介しましょう。2時位置のプッシュボタンを押すと、2本の重なり合ったクロノグラフ秒針が同時に動き出します。最初のタイム計測が終了したとき、例えば1人目のランナーがゴールラインに到達したときに9時位置のプッシュボタンを押して、上側の針を止め、タイムを記録します。その間も、もう一方の下側の針はダイヤルの周りを回り続け、 この複雑機構の英語名「スプリットセコンド」が暗示するように、効果的に秒を分割します。2人目のランナーがゴールしたら、2時位置のプッシュボタンを押すと下側のクロノグラフ針が止まり、両者のタイムとその差を読み取ることができます。再開するには、9時位置のプッシュボタンをもう1度押すだけです。すると上側のクロノグラフ針が下側のクロノグラフ針に追いつきます。この複雑機構を説明するのにフランス語の「ラトラパンテ」が使われるのはこのためです。その後、クロノグラフ機構は、4時位置のプッシュボタンを押すことでリセットできます。

タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフの部品

ひとつのクロノグラフだけでも、カムとコラムホイールによって稼働中のムーブメントに接続する必要があるため、十分に複雑ですが、スプリットセコンド機構は、その比ではないほどに複雑を極めます。それは、1本目のクロノグラフ秒針を切り離し、停止させ、その後、稼働機構に直ちに戻すことで、動き続けている可能性のある2本目のクロノグラフ秒針の真下に戻さなければならないという、全体が巧妙に設計された部品の層をなす必要があるからです。クロノメーターとクロノグラフの製造を手がけるエキスパートとして、タグ・ホイヤーは、名高いヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエと、タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフのムーブメント、 キャリバーTH81-00を共同開発しました。スプリットセコンドを搭載するモデルとして、個性の強いスクエア型ケースのモナコを選んだのは賢明な判断でした。この時計の広い側面にプッシュボタンがスムーズにフィットしたからです。また、9時位置のラトラパンテ用プッシュボタンは1969年当時のリューズ位置を彷彿とさせます。

タグ・ホイヤー モナコ スプリットセコンド クロノグラフ(Ref: CBW2182.FC8339)

この新作タイムピースのために、新作キャリバーTH81-00の搭載を初め、あらゆるディテールが入念に考え抜かれました。このTH81-00は36,000振動/時で、1/10秒の精度を保証します。364個の部品で構成されるムーブメント全体の重さはわずか30g。最後に、ケースバックは全てサファイアクリスタルでできているので、ケースの中でのムーブメントの動きを見ることができます。要は、この時計がアイコンを忠実にモダンに再解釈したものだということです。