スポーツ タイムレッスン：タキメーターの使い方

創成期の航空機のコックピットからレースカードライバーの手首にいたるまで、タキメーターは常に役に立つ計器であることを証明してきました。クロノグラフウォッチでは、単なるデザイン要素のひとつと誤解されがちですが、タキメーターには視線を捉える以上の機能があります。その歴史的意義は深く、スピード系スポーツには欠かせないツールであり続けています。

簡単に言えば、タキメーターとはベゼル上にある目盛りのことで、時間から速度を割り出すのに使われます。基本的に操作はいたって簡単。

• クルマのような動く物体がスタート地点を通過した時点で、クロノグラフのスタートボタンを押します。
• その物体が所定の距離 (例えば1キロ) を移動したら、クロノグラフのストップボタンを押します。
• すると秒針がタキメーター上の数字を指し示します。この数字が物体が所定の距離を移動した際の平均時速を表しています。

例えば、クルマが自分の前を通り過ぎたときにそのクルマの計時を開始してから、1キロ走ったところでストップボタンを押すまでに30秒かかると、クロノグラフ秒針はタキメーター上の120を指します。これはこのクルマが平均時速120キロで走っていたことを示しています。このように複雑そうに見えるタキメーターも、その使い方は極めてシンプルです。

「タキメーター」は英語で “tachymeter” と書き、ギリシャ語で「速度」を意味する “tachos” と「計測」を意味する “metron” に由来します。歴史的に、タキメーターの主な機能は、移動時間に基づいて速度を算出することでした。このツールは、19世紀初頭のパイロットやレースカードライバーだけでなく、エンジニアにとってさえ、非常に有益なものでした。

タキメーターは、ベゼルにエッチングされたり、ダイヤル外縁にプリントされたりするのが一般的です。技術が発展し、様々な産業で速度というものがより重要になるにつれ、精確に速度が計測できるツールの需要が高まります。これにより、タキメーターはよりプロ仕様のウォッチやラグジュアリーなタイムピースで採用されるようになります。

タグ・ホイヤーは、常に高精度とモータースポーツの代名詞として君臨してきました。そのため、多くのデザインにタキメーターを組み込み、アイコニックな「カレラ」コレクションからアドレナリン全開の「フォーミュラ1」シリーズまで様々なタイムピースにタキメーターが搭載されています。

そのルーツが歴史に深く刻まれているタキメーターは、スピードと精度を追求する人間のあくなき探究心の証です。一般の人がF1マシンの驚異的なペースを計測するためにタキメーターを使うことはまずないとは思いますが、時計の中でのその存在は、特にそれがタグ・ホイヤーのクロノグラフであれば、コンマ秒違うだけで全てが変わってしまう時代を象徴するものでもあります。時計愛好家にとっても、フォルムと機能の融合にこだわる人にとっても、タキメーターはスピードに対する永遠の憧れのシンボルなのです。