スポーツ サステナビリティ:フォーミュラEが大切にするもの

フォーミュラEを世界で最もサステナブルなスポーツにするための、詳細、絶妙なディテール、そしてケアをご覧下さい。

サステナビリティは、フォーミュラEの最も重要なポイントです。サステナビリティがなければ、フォーミュラEは成り立たないのです。エンターテインメントと環境への意識を両立させる見本となる、新しいスポーツです。車の構造からレースの進行まで、フォーミュラEの全てのエレメントは注意深く考え抜かれています。モータースポーツをよりサステナブルにする新たな方法を見つけること。これは、このスポーツに携わる人々が共有するゴールです。フォーミュラEがどのようにしてこのゴールに向かうのか、詳細をご説明しましょう。細かなディテールが、未来を見据えたスポーツを成功に導くために必要とされているのです。

すべてのパーツがプレシャス

視野を広げてみる前に、フォーミュラEの車のパーツをクローズアップしてみましょう。レーシングカーは、多くの繊細なパーツでできています。どんなモータースポーツでも、こうしたパーツは常に世界を周っています。工場からパドック、そして多くの場合、ごみ処理場まで。こうした移動の方法は通常、あまりエコフレンドリーではありません。そこで、フォーミュラEは異なるルールを掲げています。フォーミュラEのパーツは、特別にスペースを確保したコンテナに入れられ、バイオ燃料を使用した海上輸送で各レース会場に 効率的に運ばれています。そして、レースシーズンが終わると、パーツはドニントン・パークのウェアハウスに送られます。ここで、リサイクルされるのです。

「タグ・ホイヤーの二酸化炭素排出量の90%以上は、移動や貨物運送に関係しています。ブランドのメッセージを広め、より多くの人々にインスピレーションを与えるには、世界中のアイコニックな街に拠点を持つ必要があるのです。タグ・ホイヤーは、二酸化炭素排出量の継続的な削減をサポートする、最先端の長期的なサステナビリティ貨物ロードマップを用意しています。同時に、ロジスティックパートナーのサポートと共に、フォーミュラEの国際的成長を促していきます。バイオ燃料の使用や、空輸の代わりに海路や陸路を使った運送を行うことで排気量を大幅に抑えることの他、タグ・ホイヤーはマルチモーダルなアプローチを取っています。こうして、環境への影響を常に減らしていくために、革新を起こし、できる限りのことを全て行っているのです」。- フォーミュラE、サステナビリティ ディレクター、ジュリア・パレ

生まれ変わる車たち

壊れたフォーミュラEの車体も、新しい再利用可能な製品にリサイクル。モノをリサイクルして新たな命を授けることで、フォーミュラEはモータースポーツに新しい命を吹き込んでいます。フォーミュラEの車のバッテリーさえも、使用後にはリサイクルされるのです。バッテリーの余力は他の用途に利用され、95%以上の金属は取り出され、60%以上が再利用されます。タイヤの割り当ては、単発の大会では25%、ダブルヘッダー大会では最大で50%削減されます。1シーズンで使用されるのは1タイプのハイブリットタイヤのみ。全てのタイヤは使用後にリサイクルされます。レースごと、車ごとに使用できるのは2セットのタイヤのみ。このため、運送されるタイヤは30%~50%削減されます。

レースの度にサステナブルに

フォーミュラEはスタート時から、二酸化炭素管理の専門家とともに進められてきました。こうした専門家たちがライフサイクルアセスメントを実行し、二酸化炭素排出量をモニターして計算することを可能にするのです。ライフサイクルアセスメントは、フォーミュラEが環境、社会、経済に与える影響を評価します。各レースの影響を1シーズン通して検証することで、より良い運営や計画を目指すことができます。

資源管理についてお話ししましょう。フォーミュラEは、エネルギーロードマップに基づき、高品質なパワー源を優先しながらも、すべてのイベントで再生可能エネルギー100%を達成することを目標としています。全フォーミュラE大会で平均52%のゴミがリサイクルされています。この数字は、欧州とアメリカ合衆国のレースに絞ると90%にも上ります。リサイクルレンジャーが、チームやスタッフ、ファンに、リサイクルを最大限にする方法をレクチャーしているのです。大会時には、プラスチックごみを減らす目的で、会場を訪れたファンに飲み水のサービスと使い捨てではないポーチが提供されます。

もちろん、サプライチェーンもサステナビリティ対策の対象です。サプライチェーンと直接やり取りをすることで、調達活動を通じて最大限のポジティブな影響を得ることができるのです。入札時から「サステナブルな調達方針」を通じて、サステナビリティはそのプロセスに組み込まれています。現場でしっかりとしたアセスメントを行い、レースの後にパフォーマンスを評価します。こうして、サプライヤーが環境面および社会面での高い基準を保持していることを確認するのです。

« 2020年にスタートして以来、フォーミュラEは、ネットゼロ・カーボンを達成した世界初のスポーツとなっています。国連が推進するより10年も前です。そしてまた、2021年には、世界で初めて科学に基づいた目標に沿うスポーツとなりました。 »

ジュリア・パレ フォーミュラE、サステナビリティ ディレクター

さらにサステナブルになった新世代の車

シーズン9には、高性能レーシングカーにおけるサステナビリティのベンチマークとなるGen3が登場します。「ライフサイクル思考」に沿った初のフォーミュラカーです。つまり、すべてのタイヤや壊れたパーツ、バッテリーセルに、第二の命を得たり寿命を迎えたりする明確な道筋があるということです。Gen3はネットゼロ・カーボンとなり、すべてのサプライヤーは厳格なサステナビリティのKPIを遵守することになります。より良い、健全なスポーツへとまた一歩進むのです。

「フォーミュラEは、サステナビリティのための文化を創り出し、世界的な気候変動との戦いにスポーツが担う役割を示しました。こうして最初のプラットフォームを作り上げ、レースチーム、エンジニア、主要スタッフを通じて、可能性の限界を押し広げ、革新を続けているのです。このことは、自動車メーカーのEV開発の技術を完全に変えるであろうGen3のローンチにも見ていただけると思います」 – フォーミュラE、サステナビリティ ディレクター、ジュリア・パレ