サヴォワールフェール 行間を読む

「タグ・ホイヤー カレラ スリーハンド コレクション」新世代の発売への期待が高まる中、今回は、1950年代から現在までのタグ・ホイヤーのアイコニックなデュアルタイムゾーンのタイムピースとともに、時間を超え（そして国境を超え）、旅を楽しみます。

交通手段やテクノロジーの進化が加速するにつれて、世界中の人々が一度に複数の場所にいることに興味を持つようになりました。というよりもむしろ、同時に複数の場所の時間が分かることに興味を持つようになったと言った方がいいかもしれません。1931年、天才時計師の名をほしいままにしたスイスの独立時計師、ルイ・コティエが、父親のデザインしたワールドタイム複雑機構を改良します。そして誕生した彼の「Heures Universelles」（ワールドタイム）は、世界の主要都市の名前が刻まれた24時間リングを回転させることで、24の異なるタイムゾーンの時間を同時に知ることができました。1937年、パテック・フィリップはコティエに世界初の「ワールドタイム」腕時計の製作を依頼します。コティエはその後、ロレックスやヴァシュロン・コンスタンタンなどのブランドにもこのスタイルの腕時計を供給し続けます。

1940年代から50年代にかけて、この傾向がさらに強まり、「GMT」（グリニッジ標準時）時計の開発への関心も高まります。GMTタイムピースとは、簡単に言えば、24時間表示の時計で、別のタイムゾーンの時刻を第3の針を追加して表示するものです。例えば1955年、ロレックスは「GMT マスター」を発表します。これはパンナムのパイロットのために特別にデザインされたものでした。彼らは、あるタイムゾーンから別のタイムゾーンに移動する際に、同時に両タイムゾーンの2つの場所の時間を知る必要があったからです。同じ年、ホイヤーはデュアルゾーン時計に独自の工夫を凝らした「ツインタイム」を発表します。

このホイヤーのイノベーションは、単に2タイムゾーンウォッチのビジョンを焼き直したものではありません。むしろ、「可読性」という、ある種のデザイン上の探求心の表れだったのです。伝説によると、優れた判読性へのこだわりは、1950年代後半にジャック・ホイヤーがスイスのラリーで、ダッシュボードのタイマーが読み取れずに1位から3位に後退したことから始まったと言われます。それ以来、ジャックは自社の計時機器の判読性を重視し、改善していくことを決意したのです。ジャックがミッドセンチュリー モダンやバウハウスのデザインに強い関心を抱いていたこともあり（特にドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの作品を絶賛していました）、この瞬間から、真の意味で読み取りやすい計時を目指したホイヤーの闘いが始まりました。このこだわりは、タグ・ホイヤーというブランドが、航空機や自動車用のダッシュボード計器を開発し続けていることからも分かります。

この探求の時間軸にある、もうひとつ大きな目印は？ 「ホイヤー カレラ」の初登場は1963年のことです。美しい、そして読み取りやすい時計である「ホイヤー カレラ」は、極めて明瞭なデザイン言語でのフォルムの純粋さを追求し、ダイヤルには「Carrera」「Heuer」「Swiss Made」の3行の文字しか書かれていません。「ホイヤー カレラ」は、「ホイヤー ツインタイム」と並んで、実用性のための絶対的な判読性を目指す旅の道標となっていましたが、スタイルとエレガンスにも惜しみなく注意が払われていました。

60年代後半から70年代にかけて状況が変化し、ホイヤーの時計がシンプルな実用品から離れていったため、「ツインタイム」も姿を消しましたが、ファッションやスタイルがそうであるように、リバイバルを果たします。80年代から90年代にかけてタグ・ホイヤーからGMTモデルがいくつか発売されましたが、「ツインタイム」のストーリーが再び語られるようになったのは、1996年になってからのことでした。11年の空白を経て、「タグ・ホイヤー カレラ」は、ついに復活します。そのモデルは、1964年に発売されたホイヤーのモデルを忠実に再現し、無駄のない、判読しやすい、エレガントなタイムピースに仕上げられています。2000年代に入ると、1955年に発売されたオリジナルモデルへのオマージュとして、「ツインタイム」と呼ばれるGMTモデルで「スリーハンド カレラ」が復活しました。

「タグ・ホイヤー カレラ スリーハンド コレクション」新世代は「カレラ」オリジナルデザインのレガシーを蘇らせ、タグ・ホイヤーのタイムレスで、スポーティで、エレガントな3針デュアルタイムウォッチに新たな解釈を加えています。タグ・ホイヤーがその歴史を通して示してきた可読性へのこだわりを体現するこのコレクションは、豊かな時計製造の伝統にコンテンポラリーなスタイルのタッチをふんだんに盛り込むことで、それぞれのモデルが13者13様の強い印象を残す個性を放っています。今を生きるグローブトロッターにふさわしいデザインで、クラシックな「ホイヤー カレラ」を洗練された21世紀風に仕上げています。

新作コレクションについての詳細は、タグ・ホイヤーのウェブサイトをご覧下さい。