スポーツ アスレチック・リカバリーにおけるメンタル・レジリエンスの重要性

5分

競技場(または大海原) から役員室まで、スポーツ心理学の期待の星とその効果に迫る

マヤ・ガベイラ

スポーツの世界では「何が何でも勝つ」という姿勢が育まれることが一般的です。しかし、勝利には、成功や「手堅さ」と同じくらいに、逆境や弱さといったものも関係していることがよくある点は見過ごされがちです。優れたアスリートを見て人は単に彼らが並外れた遺伝的才能や超人的な資質を持っているからだと考えてしまいますが、勝利はしばしば身体能力だけでなく、精神面やそれを鍛えることによってもたらされる点を、実はアスリート自身が誰よりもよく知っています。最近では、肉体面のトレーニングだけでなく、心理的なスキルの追跡や開発にも同様の重点が置かれる傾向が高まっています。

心の筋肉を育てる

「レジリエンス(回復力) 」という単語は、コーチングであろうと、生理学、心理学であろうと、スポーツの世界で非常によく使われる言葉になっています。これは、ポジティブ心理学が台頭し、幸福感やバイタリティを高める効果がある点が証明されていることが一因かもしれません。ポジティブ心理学とは、簡単に言えば、幸福感や充実感を得て、最高のパフォーマンスを発揮するために、個人の強み、そしてそれを強調する方法に着目するものです。「メンタルタフネス」の概念は、強固なレジリエンスを持てるか、そしてこの資質を培う方法を理解できるかどうかにかかっています。

ストレスの多い状況にうまく対応し、そこから学ぶ能力を持つことが私たちの考えるレジリエンスというものです。つまり、困難な状況やトラウマになってしまうような経験に対処したり、そこから回復したりする能力です。レジリエンスがあるからこそ、アスリートは逆境を乗り越え、立ち直り、さらに大きな成果を上げるよう反発することさえできるのです。レジリエンスは、単に生まれつきの性質ではなく、障壁を克服したり、対処法を身につけたりする必要がある経験を通して、時間をかけて培われるものであり、それによって、精神的に「強く」なるのです。

今回のThe Edge Podcastでは、ゲストのビッグウェーブ世界記録保持者、マヤ・ガベイラ選手が、2013年にナザレビーチでのライド中に負った外傷を克服する際に、心身のレジリエンスを高めるよう取り組んだ自分なりの戦略を紹介してくれます。 私たち自身のものだけでなく、彼女の素晴らしいアドバイスを盛り込んで、スポーツ、そして人生においてレジリエンスを高めるためのミニレッスンを以下にご紹介しますので、どうぞ参考になさって下さい。

マヤ・ガベイラ

レジリエンスの高め方 101

「チーム」に「私」はない:一人で行うスポーツや活動であっても、その個人をサポートするチームが存在するのが普通です。たとえそれが自分の友人や家族、大切な人であっても。チームメイトやコーチ、トレーナーなどに頼り、お礼に相手に励ましの言葉をかけるのです。 助けを求めることを恥ずかしいものと感じさせることなく、協力と支援が仰げる環境を作ることは、レジリエンスを育むための最良の方法の一つです。 ビッグウェーブ サーフィンは、「村全体の協力が必要なスポーツ」へと進化しました。つまり、個々のサーファーの安全を確保するためには、サーファーに協力する人たちのチームが必須となります。

何度も失敗すれば、失敗するたびにうまくなる:サミュエル・ベケットの最も有名なこの言葉は、芸術分野だけでなく、スポーツ心理学の基準にもなるはずであることは間違いありません。失敗なくして成功はありえません。転んだ後に優雅に立ち上がる方法を学ぶことよりも成功への近道になる方法はありません。向上するための最高のトレーニング環境とは、選手、あるいは同僚、従業員、チームメイトが失敗を恐れない環境のことです。

ポジティブ(前向き) に考える:「ネガティブ」な経験や失敗したと思われることを振り返り、ポジティブな表現で捉え直します。 危機的な状況であっても、それを成長するチャンス、新たな可能性への扉と考えるのです。 ガベイラ選手はワイプアウト(波にのみこまれてサーフボードから落ちてしまうこと) すると、この経験をどうすればサーフィンというスポーツを安全に楽しむことができるかについての新しい戦略を考える機会として捉えると言います。

マヤ・ガベイラ

急がば回れ:目先の成果に目を奪われがちですが、多くの勝利は、一時的な輝きの先にある粘り強さと決断力の賜物です。長期的な視点で考え、挫折は自分の能力に対する最終的な判定などではなく、一時的な障害と捉えるのです。 カベイラ選手の回復には何年もかかりましたが、最終的にはこの「ロングゲーム」によって、2つの世界記録を立て続けに達成することができました。

目的を見つけ、目標を設定する:役に立つレジリエンス戦略は、自分の原動力となる目的を見つけ、目標を達成するという全体像を捉えた観点から、日々の努力を積み重ねることです。 人を感動させたいのか? 新記録を打ち立てたいのか? 世界を見つけた時よりも公平な場所にしたいと思うのか? 情熱と目的は密接に結びついており、強固な基盤をもたらし、困難な状況にあっても豊かなインスピレーションの源となります。ガベイラ選手にとって、レジリエンスを高めるためのストーリーを伝えることは、自分の競技人生を補完するだけでなく、その過程で他の人を助ける目的にもなっています。

興味を持たれましたか? それなら「The Edge」でのガベイラ選手との対談をお聞き下さい。世界記録の樹立から女子ビッグウェーブサーフィン大会の立ち上げ、スポーツや海洋保全でのアドボカシー活動まで、サーフィン界のスーパースターが成し遂げてきた素晴らしい成功の数々にレジリエンスがどうつながるのかについて、率直で忌憚のない意見が披露されています。