ストーリー タイムキーパーズ:トミー・フリートウッド、プロゴルファー

7分

このインタビューシリーズでは、時間というものが極めて重要な役割を果たす立場に立つ人々をご紹介します。ゲストは、タグ・ホイヤーの公式アンバサダーに留まらず、実際の生活の中でミリ秒の違いがいかに重要であるかを示す代表的な方々です。起業家から、あらゆる種類の時間の放浪者(その多くがまるでパートタイムの哲学者のような人たちですが) や、世界最高のアスリートまで、頂点を極めた逸材がどのようにして私たちの知る「時間」というものを守ったり、曲げたり、あるいはタイムトラベルをしているのかを探ります。それぞれのテーマについて、彼らが実に魅力的なことを語ってくれるのを聞くのは決して損なことではありません。

The Edgeのポッドキャストで、インスピレーション、家族、ハードワーク、そしてプロゴルファーの生活とは一体どんなものなのかについて語ってもらってから2ヶ月。2021年の全米プロゴルフ選手権を直前に控えたプロゴルファーのトミー・フリートウッドに再び会い、初めてのホールインワン、お気に入りのコース、そしてお父さんのためにタグ・ホイヤー ゴルフアプリを設定してあげた話などを伺いました。

2021年の全米プロゴルフ選手権が開催されるキアワアイランド オーシャンコースがあるサウスカロライナ州に来ています。今年に入って2回目のメジャーですね。メジャーの選手権コースに出るたびに、同じように興奮しますか?

どの試合も全て特別です。初めてコースに出るときは、どうしても不安になるものです。どのティーグラウンドでも常に一番後ろでどぎまぎして、慣れないコースでのプレーは長くて厳しいものになります。でも今回は、久しぶりに観客が入り、スタンドもあるのでワクワクします。慣れ親しんだところに戻ってきた感じがして、期待に胸が高鳴ります。

観客がいる方が頑張れますか?それとも形はどうであれ静かな環境の方がお好きですか?

誰も見ていないというのは、確かに違う体験ですよね。前回のPGAでは、土曜日のかなり遅い時間にティーオフ [ゲームを始めること] したのですが、17番ホールに着いたときには午後7時で、本当にそこには人っ子一人いませんでした。ちょっと不気味でしたね。ですから、多少なりとも元の状態に戻ったことには当然のことながら喜んでいます。どの選手も観客から力をもらっていると思います。

通常、メジャーの前にはどのように準備されるのですか?

私は、2週間前からトーナメントの準備を始め、1週間かけて試合に向けた練習と微調整を行い、その後は十分に休養を取るようにしています。つまり、1週間プレーし、1週間休み、そこからメジャーに参戦するわけです。

コースマネージメントの面はどうされているのですか?

練習場ではいくらでも時間をかけることができますが、実際にプレーするとなると、様々な風の状態、色々な角度で打つことになります。だから、僕にとって最もありがたいのは、コネクテッドウォッチを使えば、ドライバーのティーショットでどのくらいの距離が出ているか、アイアンだとどのくらい飛ぶか、どんなショットパターンになっているかなどを正確に把握できること。プロのレベルでも、こうした情報が目の前にあるのは素晴らしいことです。

コネクテッドウォッチではコースを上空から見た様子が見られますが、これは役に立ちますか?

もちろん。とても重要な情報ですし、安心感も高まります。コースに関する知識や映像は多ければ多いほどいいし、全ての情報を頭の隅に留めておけば対応も容易になり、ただショットを打つだけになりますから。練習は自分がやりたいだけできますが、それだけではなく、心に余裕がないといけませんし、十分な情報を知っていると思えることも大切です。

統計の数字ではあなたのウェッジショットは非常に素晴らしいのですが、どのようにしてコントロールされたウェッジショットを打っていらっしゃるのですか?[ウェッジは、シャフトが短くクラブヘッドが重いアイアンの一種で、短距離のショットや、トリッキーな地点からボールを出すのに使われます。]

いい質問ですね。実は、僕はしばらくの間、ウェッジが苦手だったんです。最近になってようやく上達したんですよ。プロになったばかりの頃はそれほど上手くなかったので、ウェッジを4本持っていました。だから、まず言いたいことは、ウェッジを3本しか持っていないなら、もう1本余分に持ち歩くべきということです。ウェッジを強く振れば振るほど、ボールにスピンがかかり、コントロールが効かなくなってしまいます。ウェッジショットの際、僕はスタンスを広くとり、その分余裕を持たせるようにしています。ヤーデージがどれくらいであろうと、適切だと思うクラブが何であろうと、ウェッジを1本抜いて、スタンスをとってみることを絶対にお勧めします。

[ホールから100ヤード以上離れた場所で] アプローチショットを打つときには、さまざまな要素を考慮しなければなりませんが、どのようなことが頭をよぎりますか?

メジャーの大会では、本当に厳しい局面がいくつもあります。今週のコース [キアワ オーシャンコース] では、グリーンを外しても、ボギー [そのホールのパー数よりも1打多いスコア] が最悪のスコアで、ダブルボギーやトリプルボギーになることはないだろう、と思われるような場所がいくつかあります。これがメジャーと通常の大会との違いの一つです。「ダブルボギーにならないためにはどこに打てばいいか」と考えながらコースに出ているわけではないだろうと思われるかもしれしれませんが、そういうことも起こるのです。常に完璧なパットを打てるくらい上手くなりたいと思ってはいますが、実際にはそんなことはできませし、自分の実力は受け入れなければなりません。あなたはいつもむしろパットを打った方がいいと思っていますよね。

マスターズの16番ホールで達成したエースの話を聞かせて下さい。あれは見事でしたね。

確かに、ホールインワンを出すのに格好のホールがありますが、マスターズの16番もその一つです。パットが全く入らない日がずっと続いていたのに、突然ホールインワンが出た。最高の瞬間でした。オーガスタのレジェンド、フィル・ミケルソンと一緒に回っていましたからね。オーガスタでイーグルやエースを達成するたびにクリスタルのグラスがもらえるのですが、マスターズ5回目にして初めて手にすることができたので、本当に嬉しかったです。

オーガスタ・ナショナルでプレーできる人はそう多くないし、それに加えてエースを達成したことは、まさに死ぬまでにやっておきたいことリストに入っている項目のようなショットだと思っています。これまでにトータルで何回達成しているのですか。

[答えるのを躊躇する]

ということは、かなりあるということですね。

これまでで8、9回あったと思います。マスターズのわずか1週間前にも1回あったので、最近、他の人にも同じことを聞かれました。それ以来、出なくなってしまったようです。

最初はどこでだったか覚えていらっしゃいますか。

子どもの頃に父と一緒にプレーしたあるコースの16番でした。そのことははっきり覚えています。おそらくお気に入りのコースだったと思います。

どんなコースでしたか?

僕は、素晴らしいリンクスコースがたくさんある海辺の町で育ち、そこにある唯一のパークランドコースのメンバーでした。父や他のジュニアメンバーと一緒にプレーするのが好きでした。当時のコースとしてはかなり長いものでしたよ。今はそんな風には感じられませんが。

今週のために準備していたのですね。

キアワよりは少し短かったです(笑)。でも、確かにコースにはたくさんのウォーターハザードがありましたし、リンクスタウンのパークランドコースでしたが、素晴らしかったですよ。今でもそこでプレーしたりしています。

あなたが育ったイングランドと比べてアメリカでのプレーにはどんな違いがありますか?

ヨーロッパツアーとPGAツアー、アメリカとイギリスなど、ゴルフのスタイルは確かに違いがあると思います。でも結局のところ、僕はいつも、良いプレーをすれば問題ないと思っています。ただし、様々なスタイルがありますし、考慮すべき点も色々あります。アメリカの方が飛距離が必要だとは思います。でも結局は同じゴルフですから。

ゴルフスタイル以外にも、アメリカに来て調整することはありますか?

こちらでのトーナメントには、明らかにイギリスとは別のタイプのファンがいます。僕はいつもとても運が良くて、素晴らしいサポートを受けてきました。アメリカの方は私にとても親切にしてくれましたし、ファンの皆さんも熱気があります。こちらの方が、イギリスよりもいい意味でかなりうるさいですしね。

どの時点でプロとしてやっていけると確信し、その道に進むことを決めたのですか?

子供の頃からゴルフはずっと好きでした。学校から帰ってくるとすぐにボールを打ちに行っていましたから。イングランドのナショナルチームでプレーするようになってからは、ゲームの達人たちに囲まれて過ごしたので、常に向上達していきました。学校を卒業してから数年後にフルタイムでプレーするようになり、18歳のときにウォーカーカップに出場しましたが、そのときにはもうプロになるんだと思っていました。今思うと、その年齢では恐いもの知らずでしたね。やっとのことでヨーロッパツアーに出たときは、大変な思いをしました。自分がそれまでやってきたものよりもレベルがずっと高くて、やるべきことが山ほどありました。でも、15、6歳の頃には、プロになって世界を回るようになることに全く迷いはなかったです。

そして今ここにいます! あなたがセント・アンドリューズのコースについて話すインタビューをたくさん見ましたが…

情熱的に語っていらっしゃいましたね!

ええ! 本当にお好きなんだなということが伝わってきます。そこでの初ラウンドについて教えて下さい。

ヨーロッパには「セント・アンドリューズ・リンクス・トロフィー」というアマチュアのイベントがあります。それに出たのが最初でした。そもそも町の雰囲気が素晴らしいんです。まさにゴルフタウンです。コースそのものも。私はこのコースが大好きなのですが、それは、自分のゲームにおけるあらゆる側面が試されるコースだからです。このコースでは、様々なことが起こり得ます。とてつもなく巨大なグリーンがあり、風の状態によって毎日違うもののように感じられます。絶対にロストボールをしてはいけないコースですが、同時にバンカーにつかまって大変な思いをすることもあります。

僕たちもプレーしたことがありますが、一番遠いところからクラブハウスを振り返ると、とても遠くに感じます。

遥か彼方にあるようです。

雨が降っていたり、寒かったりしても、そこでの1秒1秒を愉しんでいますか?

もちろん。

ツアーに登場しない“隠された宝石”のようなお気に入りのコースがあれば教えてください。

2018年に全米オープンが開催されたシネコックが好きでしたね。このエリアにあるハンプトンズでは、いくつかのコースでプレーしたことがあります。ナショナルもフライアーズヘッドも大好きです。ナショナルは、ティーショットで決してロストボールになることがないコースの一つなので、いつでも安心してプレーできるコースだと思います。グリーン上では様々なショットを打つことが可能です。とても楽しめるコースです。

タグ・ホイヤーをプレゼントしたことはありますか。

ぜひ持っていて欲しかったので、僕の2人のコーチには贈ったことがあります。そして父にも。父にはコネクテッド ゴルフを贈りました。おかしかったのですが、父にプレゼントしたら、父が「設定は簡単にできるのか」と聞くんです。それで僕はもちろんだと答えました。実際とても簡単だから。それでも、父は設定できなかった。それで、タグ・ホイヤーのゴルフアプリの設定を手伝ったのですが、父が初めてアプリを開いたときに広告が出てきて、それが僕の写真だったんです。父は、これは何だ?!という感じでした。父は僕をめったに褒めないし、かなり皮肉屋です。未だに7番アイアンで170ヤード以上打ったつもりでいますから… [素晴らしい!]

父はショックを受けているかもしれません。

ショックを受けますよ。だって今やコネクテッドウォッチを持っているんですからね!

ラウンド前にする決まったウォーミングアップはありますか?

その時によります。ウォームアップはウォームアップに過ぎないと思っています。練習場でショットを打てなかったときに最高のラウンドをしたこともありますし、練習場では全くミスをしなかったのにラウンドは最悪だったこともありますから。ストレッチのやり方もその時々で異なります。専属のトレーナーがついていて、スイングに関する課題に2人で取り組みながら、その時々に応じて様々なストレッチを行っています。時間は5分から20分程度です。後は、パッティング、チッピング、ボールを打ちに行くだけですよ、本当に。かなりリラックスしたやり方をキープしていて、決して過度にスケジュール化したりすることはありません。

それでは一問一答を始めますね。あなたにとっての理想の4人組は?

父と子供たち。

即答ですね! あなたにとって最も意味のあるメジャーは?

全英オープン。

あなたの好きなライダーカップのフォーマットは?

フォアサム、フォアボール、シングルスのどれですか? フォアサム。

スポーツを教えてもらいたいタグ・ホイヤーのアスリートは?

今は大坂なおみ選手。彼女はグランドスラムを制覇するのが得意ですからね。

試合をお膳立てしましょう。この質問は難しいかもしれません。オーガスタとセント・アンドリューズのどちらかを選ぶとしたら?

セント・アンドリューズ。簡単です。

タグ・ホイヤー コネクテッドのお気に入りの機能は?

間違いなく、ボタンを押すだけで正確な距離が分かる点。

今週、最も楽しみにしていることは?

もちろん、プレーすることですよ。前にも言ったように、僕はメンタル面や技術面など、ゲームのあらゆる要素が試されるコースが好きです。そんな風に自分に挑戦できることに、いつもワクワクしています。それにこのコースの雰囲気に浸ることも楽しみですね。

今回のPGA選手権を自宅で観戦される方に向けて、何か気をつけるようアドバイスはありますか?

トリッキーな場面に遭遇して、悪夢を見ることになると思います。16番、17番、18番ホールと進んでいく中で接戦になれば、素晴らしいゴルフになると思います。メジャーでは当然のことですが。