スポーツ 氷を割って:アルトゥール・ゲランボエリ選手が氷の下の水中で寒さを凌ぐ大記録を樹立

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フラッシュバック。日付は2021年3月25日(木) 、場所はフィンランド・ヘルシンキ北部にあるSonnanen湖。

時刻は午後2時、気温はすがすがしい6℃。その中で36歳のアルトゥール・ゲランボエリ選手が、氷の下を一息で泳ぎ、その距離を競う競技で世界最長記録を樹立するという不可能に再び挑む準備をしていました。それは、ゲランボエリ選手が、沈黙を超え、寒さを超え、恐怖を超えて進んでいくことを約束する旅でもありました。まさに人間の能力の限界に挑むのです。

© Aubin VAISSIERE / ALMO Film

湖には50cmの氷が張り、水中に潜るための開口部に設置された温度計が示している温度はわずか2℃でした。ダイナミック・アプネア・ダイバーとして5度の世界チャンピオンに輝くゲランボエリ選手は、このような極限の競技に挑む前のストレスをものともせず、かつてないほどに自分の限界を超えていこうと準備に余念がありませんでした。 その記録を目指し、厚さ2mmのウェットスーツを着て湖に入ります。フィンもフリッパーもグローブもありません。この過酷な挑戦において唯一の相棒となったのが、彼が最も信頼する「タグ・ホイヤー アクアレーサー」でした。フリーダイビングでは、なんといっても、計時が命だからです。

 

1時間近くにわたる呼吸法の練習の後も、このニース生まれのフリーダイバーは冷静さを失わず、入念な計算を続けていました。そして長い一息を吸い込み、偉大な記録を目指すダイビングの準備が整います。ここまで来るには、フランスのエリートアスリート養成機関INSEPとパリの医療施設Institut Mutualiste Montsouris(IMM)のフランソワ・ラオ―医師の周到な監督の下、膨大な時間をかけて心肺機能を高める準備が行われてきました。

彼の肺が酸素で満たされ、いよいよスタートです。

命知らずのダイバーは分厚い氷の下を滑って行きます。

3分が経過し、120メートルに到達したところでゲランボエリ選手が意気揚々と水の中から姿を現しました。こうしてCMAS(世界水中連盟)が認定した偉業が達成されたのです。これに対する彼は、「通常生命を危険にさらすといわれるような環境にしては、驚くほど快適で、忘れることのできないひとときでした。0℃前後の水は身体をつかみ、魅惑的で、冬眠効果もあります」とコメントしています。近年、フリーダイビングが人気を博しているのもうなずけます。

© Aubin VAISSIERE / ALMO Film

今後の大胆な挑戦シリーズのこの第一弾が、ゲランボエリ選手の「タグ・ホイヤー アクアレーサー」が誇る頑強な信頼性を確固としたものにしています。世界記録樹立のフリーダイブ中、チャンピオンの手首には、この汎用性に優れたダイバーズウォッチがしっかりと巻かれていました。プレッシャーに強く、どんな冒険にも立ち向かっていける、まさにレジェンド、アルトゥール・ゲランボエリ選手にふさわしいツールです。